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赤ピーマンの摂取が老化現象を抑制する効果を確認

1999年9月9日

カゴメ株式会社総合研究所(栃木県西那須野町)は、赤ピーマンの摂取が老化の進行を抑制する作用があることを、実験動物を用いた研究で突き止めました。また、特に学習・記憶能の維持には、赤ピーマンに含まれる赤色色素であるカプサンチンの寄与が大きいことも明かに致しました。この研究内容は、1999年のJournal of Nutritional Science and Vitaminology誌に論文が掲載されるとともに、1999年7月8日から9日に徳島大学で開催されました第15回老化促進モデルマウス(SAM)研究協議会にて発表いたしました。
 この研究は、遺伝的に早期に老化現象が現れ、かつ促進的に進行する動物(老化促進モデルマウス:SAM)を用いて行いました。老化促進モデルマウスは、現京都大学再生医科学研究所にて、老化が早期に現れる個体を掛け合わせることにより確立されたマウスで、発現する老化の種類(白内障や骨粗しょう症の発症、学習・記憶能の減退など)により、いくつかの系統に分かれています。今回の実験に用いたのは、特に学習・記憶能が早期に衰えるSAMP8という系統と、その対照で、正常な老化を示すSAMR1系統です。
 これらの2種類のマウスに、生後6週齢から赤ピーマンの凍結乾燥粉末を20%加えた餌または普通の餌を与えて、3ケ月間飼育しました。この期間中、老化進行の指標として、行動や外見の老化(探索行動の有無、毛のつや、脱毛の程度、白内障発症の有無、背骨の湾曲など11項目)を点数化し、その総点数によって表される老化度評点*を測定したところ、普通の餌で飼育したSAMP8は点数が著しく増加し、老化の進行が早かったのに対して、赤ピーマンを摂取したSAMP8では、普通の餌を摂取したSAMR1と同等の増加しか示さず、老化現象が抑制されていることがわかりました。また、3ケ月間の摂取試験終了時に、各群の学習・記憶能を、ステップスルー型行動測定装置を用いた受動回避試験**により評価したところ、学習・記憶能の衰退も、赤ピーマンの摂取により抑えられることが判明しました。
 老化現象は、活性酸素による体内での酸化が一因であるとされていますので、赤ピーマンに豊富に含まれる、強力な抗酸化作用を示すことが知られていたカロチノイドの一種であるカプサンチンを餌に加えて、同様の試験を行ないました。その結果、老化度評点の上昇は抑えることができなかったものの、学習・記憶能の衰退は抑制することができました。赤ピーマンには、カプサンチン以外にも、ビタミンCやE、β-カロチンといった抗酸化物質が多く含まれていますので、赤ピーマンの摂取で観察された外見の老化に対する抑制作用は、これらの物質との相互作用であると考えられ、赤ピーマンを食品として摂取することが好ましいと推測できます。
 また、トマトを摂取させた場合にも、赤ピーマンと同様の学習・記憶能を維持する作用が認められています。
 今後、どのようなメカニズムで、赤ピーマンやトマトが老化を抑制するのかという点について、さらに研究を進めて参ります。

*老化度評点:
 以下の11項目について、老化現象を点数化し、その点数を足した合計で表すもので、老化促進モデルマウスの老化度指標の一つとして一般に用 いられているものです。
・探索行動・毛の光沢
・毛のなめらかさ・脱毛の程度
・皮膚の潰瘍・目の周辺の麋爛
・角膜の混濁・角膜の潰瘍
・白内障の有無・脊椎の屈曲
・捕獲しようとしたとき時の逃避行動
**ステップスルー型行動測定装置を用いた受動回避試験:
 マウスが暗い場所を好むことを利用した試験。明るい部屋と暗い部屋とが 扉でつながった装置を用意し、明るい部屋にマウスを入れると、マウスは暗い場所に移動します。マウスが暗い部屋に移った時点で、マウスにとっては不快な電気ショックを与えます。すると、学習・記憶能が良いマウスは、次に明るい部屋に入れてもなかなか暗い部屋に移動しようとしなくなります。
 明るい部屋に入れてから、暗い部屋に移動するまでの時間を測定することにより、そのマウスの学習・記憶能を評価します(この時間が長い方が学習・記憶能が優れていると言えます)。