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ニンジン・トマト・赤ピーマンの野菜ジュースに 肌を白くする(美白)効果を確認~カゴメ・佐賀大学 共同研究 ~

2001年3月12日

カゴメ株式会社総合研究所(栃木県西那須野町)は、佐賀大学海浜台地生物生産研究センター(亀井勇統助教授)との共同研究で、ニンジンやトマト、赤ピーマンといった緑黄色野菜ジュースに含まれるカロチノイドが、しみやそばかすなどの、色素沈着の原因となるメラニンの生成を抑える効果を持つことを突き止めました。
すなわち、ニンジンなどの緑黄色野菜ジュースを常飲することで、美白効果が期待できます。
本研究内容は、日本農芸化学会2001年度大会(3月24日~26日 立命館大学(京都))において発表いたしました
研究のきっかけ
 皮膚は、直接外界と接触しており、紫外線の攻撃を最も激しく受ける特殊な臓器です。
紫外線によって生じた活性酸素は、皮膚の中の脂質を酸化・変性させ、皮膚がんの原因となることが知られており、欧米においては以前から、夏季に日光浴を行なう際には、ニンジンなどの緑黄色野菜を摂取することが推奨されています。

 ところで、頻繁に紫外線を浴びる顔や首と、紫外線があたることの少ない腹部や臀部とを比較すると、しわやしみ、そばかすなどの皮膚の様子に違いがあることがわかります。
このことは、顔を見れば年齢を想像できますが、お尻では年齢を判断しにくいことからも理解できます。
このような、体の部位による皮膚の状態の相違は、紫外線によって発生した活性酸素に起因し、「光老化」「光加齢」と呼ばれています。
その代表的な症状として、急性と慢性の皮膚障害があります。
急性障害の代表例は、山や海に出かけて、短時間に強烈な紫外線を浴びることによって起こる「日焼け」がそうです。
 また、日常的な「日焼け」であっても、それをくり返すことにより慢性化し、しみやそばかすなど、メラニン色素の異常沈着につながります。
この、メラニンの異常な沈着を防ぐことができれば、しみやそばかすを予防することができると考えられます。
研究の目的
 そこで、メラニン生成抑制効果について研究を行なっていた佐賀大学の亀井先生らと共同で、野菜系の飲料が、しみやそばかすの原因となる、メラニンの過剰な産生を抑制するか否か、培養細胞を用いて評価を行ないました。
研究の内容
 実験には、メラニンを作り出す能力を持った細胞(B16メラノーマ細胞)を用いました。
この細胞の培養液に、トマト及びニンジン、赤ピーマンジュースを添加して3日間培養し、その後、細胞からメラニンを抽出して生成量を評価したところ、ジュースを加えなかった場合よりも、メラニンの生成量が少なくなることがわかりました(次頁図参照)。

一般に、美白を目的とした化粧品の成分としては、アルブチンやコウジ酸、持続型ビタミンCが用いられます。
 これらの成分の中で、今回用いた実験系では、持続型ビタミンCでは若干、コウジ酸ではようやく効果が認められる程度でしたが、アルブチンが最も強くメラニンの生成を抑えました。
 そこで、この実験系で細胞の増殖に影響のない最大濃度(62.5 mg/ml)のアルブチンを加えた場合の美白効果(メラニン生成抑制効果)を100%とし、ジュースによる効果を評価したところ、アルブチンの60%以上の効果があることが判りました。

美白効果として、β‐カロチンにおいても効果が認められていることから、ジュース中の有効成分もカロチノイドであると考えられます。
 それぞれのジュースを添加した培養液中のカロチノイドの含量は、ニンジンのβ‐カロチンが0.4 mg/ml、トマトのリコピンが1.0 mg/ml、赤ピーマンのカプサンチンが0.4 mg/mlであり、アルブチン100%の美白効果(62.5mg/ml)と比較して、非常に少ない量で作用が認められたことになります。

メラニンは、紫外線刺激により、皮膚の表皮基底層で、アミノ酸の一種であるチロシンから生合成されます。
 アルブチンは、メラニンの合成に必要な酵素の一つ、チロシナーゼの作用を抑えるとともに、チロシナーゼなどのメラニン生成に必要な酵素の量自体を減らす作用があることから、メラニンの生成を抑えることができます。
 ニンジンなどの緑黄色野菜ジュースに含まれるカロチノイドも、このような作用をもたらしたと考えています。
さらに、実際の皮膚においては、皮膚表面の細胞が紫外線を浴びて発生する活性酸素が引金となって、メラニンを産生させる情報が伝わることから、β‐カロチンの抗酸化作用により、メラニンを作らせる情報を抑える効果も期待できると考えられます。
期待される成果
 以上のことから、ニンジンなどの緑黄色野菜ジュースを常飲することにより、皮膚への色素沈着を抑制し、しみやそばかすの予防や改善効果が期待できる可能性があると考えられました。
メラニン生成抑制率
図の説明
 ニンジン、トマト、赤ピーマンジュースのメラニン生成抑制効果を、化粧品の美白成分であるアルブチンと比較しました。
 アルブチンは、この実験系に加えられる最大量を添加しています。
 その結果、ニンジンやトマ g、赤ピーマンといった緑黄色野菜のジュースの添加で、メラニンの生成が抑えられ、その作用はアルブチンの2/3程度でした。
 この効果は、これらジュースに含まれるカロチノイドによるものと考えられますが、ジュース中の濃度から計算した、培養液中のカロチノイドの量は、アルブチンと比較して非常に少ない量であり、カロチノイドは強い効果を持つと推測されました。
亀井助教授のコメント
 化粧品に含まれている美白成分の代表的なものには、アルブチン、コウジ酸、ビタミンCがあります。
この実験系では、アルブチンは強いメラニン生成抑制作用を示しますが、ビタミンCの活性は弱く、コウジ酸では、ようやく活性を確認できる程度です。
今回の実験で、野菜ジュースに顕著なメラニン生成抑制作用が認められました。
 これは、ジュースに含まれるカロチノイドによる作用と考えられますが、カロチノイドは吸収された後、皮膚にも分布します。
 このことから、野菜ジュースの摂取は、肌をしみやそばかすから守るのにプラスになると考えられます。
美白効果(メラニン生成抑制効果)のメカニズム
メラニン産生機序とβ‐カロチンの作用点
図.メラニン産生機序とβ‐カロチンの作用点
緑黄色野菜(β‐カロチン)の作用点

・ 紫外線により、皮膚の表面で発生する活性酸素を消去しメラニン生成を促す物質の放出を抑える。
・ メラニン産生に必要な酵素(チロシナーゼ)の量を減らしたり、活性を弱めたりする(今回の結果)。
   


メラニンの過剰産生を抑制
用語の説明
メラニン:
 紫外線の刺激により、皮膚の表皮基底層に存在するメラニン産生細胞で作られる黒色色素。サンスクリーン効果を持つ一方で、過剰に作られるとしみやそばかとなる。

カロチノイド:
 主に植物に存在する、赤・橙・黄色の色素。ニンジンにはβ-カロチン(橙色)、トマトにはリコピン(赤色)、赤ピーマンにはカプサンチン(赤色)が特徴的に含まれる。β-カロチンなど、ヒトの体内でビタミンAに変換されるものもあるが、最近は、抗酸化作用による疾病予防作用が注目されている。

アルブチン:
 漢方で、尿路消毒のために用いられている生薬、ウワウルシ(クマコケモモ)に含まれる成分。体内でのメラニンの生成を抑えることから、多くの美白化粧品に利用されている。

光老化:
 紫外線を浴びることにより、皮膚の中で活性酸素が生じたりメラニンが過剰に合成されたりして、しわやしみ、そばかすといった皮膚の劣化(老化)が起こるように、紫外線が皮膚に及ぼすマイナスの影響。