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発がん抑制作用や抗コレステロール作用などが期待される赤ピーマン中に含まれる糖脂質の構造を解明~カゴメ・岐阜大 共同研究~

2001年9月7日

カゴメ株式会社総合研究所(栃木県西那須野町)は、岐阜大学農学部(生物資源利用学科:山内亮教授)との共同研究で、赤ピーマン中に含まれているガラクトシルグリセロール類注1、ステリルグリコシド類注2、セレブロシド類注3の構造を明らかにしました。これらの糖脂質類注4は、様々な生理作用を有することが報告されており、赤ピーマンの新たな生理作用の解明が期待できます。

本研究内容は、日本食品科学工学会第48回大会(2001年9月11日~13日:香川大学)において発表いたしました。
研究のきっかけ
 赤ピーマンは様々な成分を含んでおり、生活習慣病などの疾病予防が期待できる素材です。例えば、赤色の色素であるカプサンチン注5は、活性酸素注6を消去する働きがあり、老化抑制や動脈硬化予防に有効であるといわれております。その他にも、赤ピーマンには抗酸化ビタミンであるビタミンCやEが豊富に含まれております。しかし、それ以外の成分の詳細な検討は行なわれておりません。

 ところで、糖脂質は様々な動植物に含まれており、栄養源としてそして生理活性を示す物質として注目されております。最近、高速液体クロマトグラフ質量分析装置により、これら糖脂質の構造が迅速に分析できるようになりました。そこで、赤ピーマン中に含まれる糖脂質の構造について検討いたしました。
研究の目的
 赤ピーマンの新たな生理作用を明らかにするためには、含まれている成分を検討する必要があります。そこで、生理作用が期待できる糖脂質に注目し、岐阜大学の山内先生らと共同で、高速液体クロマトグラフ質量分析によりその構造を明らかにする目的で本研究を行ないました。
研究の内容
 赤ピーマンペーストから脂質を抽出し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーを繰り返すことにより、6つの糖脂質画分(脂質の構造区分・画分1~6)を得ました。分離した6つの画分は、高速液体クロマトグラフ質量分析やその他の機器分析に付すことにより構造を明らかにし、以下のような結果を導きました。
図1
図.赤ピーマンに含まれる脂質の構造
1: カプサンチン
2: パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸を含む7種類の アシルステリルグルコシド類
3: リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸を 含む6種類のモノガラクトシルジアシルグリセロール類
4: カンペステリルグルコシドとβ-シトステリルグリコシド
5: 7種類のグルコセレブロシド類
6: リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸を 含む7種類のジガラクトシルジアシルグリセロール類

 前にも述べましたように、画分1のカプサンチンは活性酸素を消去する働きがあり、生活習慣病の予防に有効であるといわれております。また、これらの糖脂質類は、リノレン酸などの脂質類を含むため、栄養の摂取源としても重要な役割を果たしております。さらに、わが国の成人は1日に140mgのアシルステリルグルコシド類、65mgのステリルグルコシド類、50mgのセレブロシド類、90mgのモノガラクトシルグリセロール類、220mgのジガラクトシルグリセロール類を摂取しているとの報告があり、赤ピーマンはこれらの糖脂質を含んでいることから、糖脂質の摂取源として有用であると考えられます。

  最近では、ハーブの一種から抽出されたガラクトシルグリセロールには、発がんを進行させる(プロモーション)を抑制する作用が報告されていることから、赤ピーマン中のガラクトシルグリセロール類にも同じ効果が期待できます。また、アシルステリルグルコシド類には抗コレステロール作用などの生理活性が報告されていることから、赤ピーマンにもそれらの生理作用が期待できます。これらにつきましては、今後も検討を続けて参ります。
期待される結果
 以上のことから、赤ピーマンにはガラクトシルグリセロール類、ステリルグリコシド類、セレブロシド類が含まれていることが判明致しました。そのため、赤ピーマンは、糖脂質の供給源として重要な役割を果たしていると考えられます。また、これらの糖脂質は、発がん抑制作用や抗コレステロール作用などが報告されているため、赤ピーマンにもこれらの作用が期待できます。
山内教授のコメント