ニュースリリース ニュースリリース

Lactobacillus brevis KB290(ラブレ菌)の 免疫賦活に有効な投与量と投与期間をマウスによる実験から解明 ~カゴメ総合研究所が日本乳酸菌学会2007年度大会にて発表~

2007年7月12日



カゴメ株式会社総合研究所(栃木県那須塩原市)は、Lactobacillus(L.) brevisKB290(ラブレ菌)の免疫賦活作用について研究を進めておりますが、今回、マウスにおいて免疫賦活作用を示すラブレ菌の投与量と投与期間を明らかにしました。
本研究内容は日本乳酸菌学会2007年度大会(7月5ー6日、麻布大学)において発表いたしました。

■ 研究の背景
ラブレ菌は古来より食されてきた伝統的な京漬物「すぐき」から発見された植物性乳酸菌です。ラブレ菌はヒトのインターフェロン-α(IFN-α)の産生能や、自然免疫が賦活すると亢進されると考えられているナチュラルキラー(NK)活性(細胞傷害活性)を高めるといった免疫賦活作用が報告されております。ラブレ菌の免疫賦活作用メカニズムの研究を進めて行く過程において、ラブレ菌の免疫賦活作用を示す条件(投与量や投与期間など)を明らかにする必要があると考え、今回、マウスにおいて検討した結果を報告致します。

■ 研究概要
方法
対照群(リン酸緩衝液を投与)、KB290低用量群(ラブレ菌を1×105 cfu/マウス/日投与)、中用量群(ラブレ菌を1×107 cfu/マウス/日投与)高用量群(ラブレ菌を1×109 cfu/マウス/日投与)の4群に分け、1週間、2週間、4週間後のマウス脾臓のNK活性を測定しました。

結果:
NK活性は投与1週間からラブレ菌の投与量が多くなるにつれて、高くなる傾向を示し、2週間、4週間投与でKB290高用量群において対照群に対して有意に高い値を示しました(図1.)。
今回の結果より、ラブレ菌をマウス1匹あたり1×109cfu 、2週間以上投与することによりNK活性は上昇することが示唆されました。また、ラブレ菌を継続的に摂取することで、免疫力をより高める可能性が示唆されました。
今後は決定されたラブレ菌の免疫賦活条件をもとに、メカニズム解明にむけてさらなる研究を進めてまいります。

(A)



(B)



(C)



図1. ラブレ菌を投与したマウスのNK活性
(A) ラブレ菌を1週間投与したマウス (B) ラブレ菌を2週間投与したマウス
(C) ラブレ菌を4週間投与したマウス
対照群 :リン酸緩衝液を投与  
L. brevis KB290低用量群 :ラブレ菌を1×105cfu/日投与
L. brevis KB290中用量群 :ラブレ菌を1×107cfu/日投与
L. brevis KB290高用量群 :ラブレ菌を1×109cfu/日投与


用語の説明

≪ラブレ菌≫
学名 Lactobacillusbrevis KB290 → 通称、Labre(ラブレ)
京都の漬物「すぐき」から(財)ルイ・パストゥール医学研究センター(京都)で分離され、その整腸作用や免疫賦活作用が研究されてきました。

≪免疫賦活作用≫
広義では宿主の免疫システムを刺激し活発化する作用をいいます。ラブレ菌はがん細胞やウィルスに感染した細胞を殺し、体内における免疫反応の最前線で活躍するNK細胞の活性化や、IFN-αの産生を促進することがわかっています。

≪ナチュラルキラー(NK)細胞≫
 大型リンパ球の一種で、がん細胞やウィルスに感染した細胞を殺し、体内における免疫反応の最前線で活躍する細胞です。免疫力によるがん予防の主役として期待されています。

≪NK活性≫
NK活性とは、NK細胞ががん細胞などを攻撃して殺してしまう働きの強さを表し、免疫力の重要な指標となります。加齢やストレスによって低下することが知られており、NK活性を高めることにより感染症やがんの予防が期待されます。

≪インターフェロン-α(IFN-α)≫
 抗ウィルス活性を持つ生体内で作られるたんぱく質です。 NK細胞を活性化させる働きもあります。 抗がん剤やC型肝炎の治療薬として使用されており、C型慢性肝炎患者へのIFN治療の長期追跡研究では、肝がんに対する一定の予防効果が明らかになってきています。最近の研究では自然免疫やがん抑制遺伝子の活性化に重要な役割を果たしていることが明らかになってきています。

≪IFN-α産生能≫
 ウィルスなどの刺激により細胞がIFN-αを作り出す能力。

≪1×105 cfu/マウス/日投与≫
 1匹のマウスに毎日1×105 個の生きたラブレ菌を投与したという意味。
cfu(シーエフユー) とはcolony forming unit の略。生菌の数を示す単位。


【資料】学会発表の要旨

日本乳酸菌学会2007年度大会 発表要旨

Lactobacillusbrevis KB290の投与量、投与期間による免疫賦活作用への影響
○福井雄一郎、桂幸次、平井あゆ美、矢賀部隆史、矢嶋信浩 *
(カゴメ株式会社・総合研究所)

<目的>
 Lactobacillus(L.) brevisKB290(ラブレ菌)は京都の漬物「すぐき」より分離された植物性食品由来の乳酸菌であり、経口摂取によるヒトのNK活性の向上やインターフェロン(IFN)-α産生能の亢進など、免疫賦活作用が報告されている。また、マウスにおいてもNK活性の向上やインターフェロン(IFN)-α産生能の亢進、抗腫瘍作用、抗感染作用などを明らかにしてきた。しかしながら、L.brevis KB290の投与量や投与期間とマウスの免疫賦活作用との関係については明らかとなっていない。  
そこで今回、L. brevis KB290のマウスにおける免疫賦活作用について、L. brevis KB290の投与量と投与期間がどのような影響を及ぼすか検討したので報告する。

<実験方法>
 C57BL/6マウス(♀、解剖時10週齢)を対照群(PBS投与)、L. brevis KB290低用量群(1×105cfu/マウス/日投与)、L. brevis KB290中用量群(1×107 cfu/マウス/日投与)、L. brevisKB290高用量群(1×109 cfu/マウス/日投与)の4群(n=10)に分け、1回/1日連日経口投与した。各1、2、4週間投与後にマウスの脾臓より細胞を調製し、YAC-1を標的細胞とした細胞傷害活性をNK活性としてフローサイトメーターで測定し、IFN-α誘導剤としてCpGDNAまたはpoly(U)の刺激により産生されるIFN‐αをELISA法にて測定し、IFN-α産生能として評価した。

<結果と考察>
 NK活性はL. brevis KB290を2週間投与することにより、投与量依存的に高くなり、4週間投与においてもL.brevis KB290高用量群(1×109 cfu/マウス/日)で、対照群と比べ高い値を示した。
以上のことより、L. brevis KB290を投与することにより、免疫賦活作用のマーカーのひとつであるNK活性が投与量依存的に向上することが明らかとなった。IFN-α産生能についても併せて報告する。

<Title>
Influence of daily dosage and dosing period of Lactobacillusbrevis KB290 on immunostimulatory activity.