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リコピンとビタミンEとの組み合わせで美白効果が向上 さらにリコピンの吸収性にも寄与することを確認

2008年3月28日



カゴメ株式会社総合研究所 (栃木県那須塩原市)は、細胞評価において、リコピンがシミやそばかすなどの色素沈着の原因となるメラニンの生成を抑制する効果を持ち、さらにビタミンEと組み合わせることでその効果が高まることを明らかにしました。
また、リコピンとビタミンEとを組み合わせることで、リコピンの細胞への取込みも上昇することを明らかにしました。以上のことから、リコピンとビタミンEを組み合わせて摂取することで、美白効果及びリコピンの吸収性の向上が期待できます。
本研究内容は、平成20年度 第107回 日本皮膚科学会総会(4月18〜20日 国立京都国際会館)にて発表いたします。

■研究者のコメント
リコピンを摂取すると皮膚に蓄積することが確認されております。今回は、細胞評価において、リコピンにメラニン生成抑制効果があることを確認しました。また、リコピンとビタミンEとを組み合わせることで、リコピンの細胞への取込みが上昇し、加えて、メラニン生成抑制効果が高まることを確認しました。このことより、リコピンを摂取することで美白効果が期待でき、さらに、ビタミンEと一緒に摂取することで、その効果が向上することが期待できます。

■研究の背景
頻繁に紫外線を浴びる顔や首と、紫外線を浴びることが少ないお腹やお尻の皮膚を比べると、老化によってあらわれるシミ、そばかすなどに大きな違いがあることがわかります。このように紫外線は皮膚の老化現象に大きく関わっています。
紫外線を浴びると、体内では活性酸素が生じます。この活性酸素が老化現象に大きく関係しています。生じた活性酸素を介して、メラニンという色素が生成されます。メラニンは、通常、紫外線から皮膚を守るために作られます。しかし、長期間紫外線を浴び続けることで、過剰にメラニンが生成されるようになり、シミ、そばかすなどが皮膚にあらわれてしまいます。従って、活性酸素を消去する抗酸化物質には、シミやそばかすを防ぐ効果が期待できるのです。
リコピンはトマトに多く含まれているカロテノイドの一種であり、高い抗酸化作用を持っています。活性酸素にはいろいろな種類がありますが、その中でも、リコピンは一重項酸素と呼ばれるものに対する消去能力が高いことが知られています。一方、抗酸化ビタミンであるビタミン Eはラジカルという種類の活性酸素消去に優れています。異なった種類の活性酸素を消去するリコピンとビタミンEとを組み合わせることで、メラニン生成抑制 に対してより高い効果が期待できます。

■研究概要
目的:
リコピンのメラニン生成抑制効果、リコピンとビタミン Eとを組み合わせた時のメラニン生成抑制効果を解明する目的で、培養細胞を用いて評価を行いました。また、リコピンとビタミンEを組み合わせたときに、リコピンの細胞への取込みに与える影響を解明する目的で、培養細胞を用いて評価を行いました。

内容:
【メラニン生成に対する影響】
研究1 リコピンのメラニン生成抑制効果
リコピンのメラニン生成抑制効果を、細胞を用いて評価しました。評価には、メラニンを作り出す能力を持った細胞(B16メラノーマ細胞)を用いました。
方法:培養した細胞にサンプルを添加し、3日後のメラニン量を測定しました。(サンプル濃度:リコピン;0.5μg/mL、アルブチン;55μg/mL)
結果:リコピンにメラニン生成抑制効果が確認されました。また、リコピンは代表的な美白成分として知られているアルブチンより低濃度で、アルブチンと同程度のメラニン生成抑制効果を示すことがわかりました(図1)。
以上の結果より、リコピンには、美白効果が期待できます。

研究2 リコピンとビタミンEがメラニン生成に与える影響
リコピンとビタミンEを組み合わせたときのメラニン生成抑制効果を、細胞を用いて評価しました。
方法:研究 1と同じ方法にて、メラニン量を測定しました。(サンプルの濃度:リコピン;0.5μg/mL、ビタミンE;50μg/mL)
結果:コントロールと比較して、ビタミンEやリコピンはそれぞれ単独でメラニン生成抑制効果を示しました。そして、組み合わせることにより、ビタミンEのだけのときに比べて1.9倍、リコピンだけのときに比べて、1.4倍、メラニン生成抑制効果が有意に高まることが確認されました(図2)。
以上の結果より、リコピンとビタミンEを組み合わせて摂取することで、美白効果が高まることが期待できます。

【吸収性に対する影響】
リコピンは腸管から吸収されます。そこで、リコピンとビタミンEを組み合わせたときのリコピンの吸収性を評価するために、リコピンの腸管細胞への取込みを検討しました。評価には、ヒトの腸管細胞(Caco-2)を用いました。
方法:培養した細胞に、リコピンまたはビタミンEを添加し、3時間後のリコピンの細胞への取込みを測定しました。(サンプル濃度:リコピン;0.2μg/mL、ビタミンE;0.2μg/mL)
結果:ビタミンEと組み合わせることで、リコピンだけのときに比べ、リコピンの取込みが約3倍に上昇することが確認されました(図3)。
以上の結果より、リコピンとビタミンEを組み合わせて摂取することで、リコピンの吸収性の向上が期待できます。

■用語の説明
カロテノイド
主に植物に存在する、赤・橙・黄色の色素で、カロテノイドのうちβ-カロテンなどは体内でビタミンAに変換されます。トマトにはリコピン(赤色)、ニンジンにはβ-カロテン(橙色)、赤ピーマンにはカプサンチン(赤色)が特徴的に含まれています。
リコピン
カロテノイドの1つで、トマトに多く含まれる赤い色素です。脂溶性であることから油とともに摂取すると吸収性が高まります。カロテノイドの中でも抗酸化作用が高く、抗酸化作用による疾病予防作用が注目されています。
抗酸化物質
抗酸化物質とは、活性酸素を消去する働きのある物質のことです。ビタミン類では、ビタミンA、E、Cが、また野菜に含まれる色素であるカロテノイドも抗酸化物質です。
活性酸素
酸素分子から派生する、酸化力が強い物質の総称で、体中では細菌に対する攻撃やエネルギー産生に関与していますが、過剰に存在すると生活習慣病の原因になります。
一重項酸素 (いちじゅうこうさんそ)
安定した形で存在する通常の酸素を「三重項酸素(さんじゅうこうさんそ)」といいます。これが、何らかの原因で不安定な形になったものが「一重項酸素」です。「一重項酸素」は、活性酸素のひとつで、安定した「三重項酸素」と比較して高いエネルギーを持っています。
ラジカル
不対電子という不安定な状態の電子をもつ物質の総称で、活性酸素の中では、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、一酸化窒素などが該当します。
アルブチン
漢方で、尿路消毒のために用いられている生薬、ウワウルシ(クマコケモモ)に含まれる成分です。体内でのメラニンの生成を抑えることから、多くの美白化粧品に利用されています。


【資料】学会発表の要旨

リコピンとα-トコフェロールとの併用によるメラニン生成抑制効果
○佐々木啓乃、森 啓信、稲熊 隆博(カゴメ株式会社 総合研究所)

【目的】紫外線を浴びると、体内では活性酸素が発生する。活性酸素とメラニン生成には関連があることが知られており、抗酸化物質にメラニン生成抑制効果が期待される。リコピンはトマトに多く含まれているカロテノイドの一種であり、高い抗酸化能を有している。本実験は、リコピンと代表的な脂溶性抗酸化剤であるα -トコフェロールを組み合わせたとき、メラニン生成に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】リコピン(0.5〜50μg/ mL)及びα-トコフェロール(50μg/mL)をマウスB16メラノーマ細胞に添加し、3日間培養した。培養終了後、細胞からメラニンをアルカリ抽出し、吸光度を測定して、メラニン生成阻害活性を調べた。【結果】リコピンは今回検討したすべての濃度においてメラニン生成抑制効果を示した。また、リコピンとα-トコフェロールを組み合わせることで、メラニン生成抑制効果が高まることが確認された。