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リコピンにシワ予防効果が期待ーカゴメ、名古屋市立大学の共同研究ー

2008年4月14日



カゴメ株式会社総合研究所 (栃木県那須塩原市)は、名古屋市立大学(愛知県名古屋市)森田明理教授との共同研究で、細胞評価において、リコピンにコラーゲン量を増加する効果があり、紫外線によるコラーゲン量の減少をリコピンが抑制することを確認しました。以上の結果より、リコピンがシワ予防に効果を示すことが期待できます。本研究内容は、2008年第5回 国際研究皮膚科学会(5月14〜17日 国立京都国際会館)において発表いたします。


■共同研究者 名古屋市立大学 森田明理教授のコメント
今回の研究結果より、リコピンに紫外線によるコラーゲン量の減少を抑制する効果があり、これはリコピンがコラーゲン量を増加させたことによると考えられます。リコピンは、摂取すると皮膚に蓄積することが確認されております。そのため、今回の結果からリコピンを摂取することで、シワ形成を抑制することが期待できます。紫外線は、春から夏にかけ強くなることが知られています。海水浴などの際は太陽からの紫外線に加え、砂浜や水面が紫外線を強く反射するのでより注意が必要になります。これは、雪も同じです。そのため、冬も注意が必要です。衣類や日焼け止めクリームによる紫外線対策に加え、体の中からはリコピンによる紫外線対策を行い、一年中上手に紫外線と付き合っていきましょう。


■研究の背景
シワやシミは皮膚の老化現象の一つであり、その原因は自然老化と光老化の2つにわけることができます。自然老化は加齢が主な原因となる老化現象ですが、光老化は紫外線が原因といわれています。顔や首など絶えず紫外線にさらされている部位は、紫外線にさらされていない部位と比べ、早くシワやシミが現れやすく、これが光老化です。光老化のシワは自然老化に比べ皮膚組織の変性が大きいため、太く深いシワになることが特徴です。シワやシミなどの約80%はこの光老化によるものといわれています。
紫外線を浴びると、真皮が萎縮してシワが形成されます。この原因の一つとして、真皮の構成成分の多くを占めるコラーゲンの紫外線による減少が挙げられます。そこで、シワの指標としてコラーゲン量に注目し、ヒト皮膚の細胞を用いてリコピンがコラーゲン量に与える影響について検討しました。


■研究概要

目的
リコピンがシワ予防に効果を示すか否かを解明するために、ヒト皮膚の細胞を用いてリコピンがコラーゲン量に与える影響を検討しました。

内容
実験にはヒトの真皮に存在し、コラーゲンを合成するヒト皮膚線維芽細胞を用いました。細胞に紫外線(UVA)30J/cm2を照射し、紫外線照射の有無がコラーゲン量に与える影響を確認しました。
コラーゲン量は細胞培養液中に放出されたI型コラーゲンを、ウェスタンブロッティング法を用いて測定しました。また、細胞にリコピンを添加し、同様の方法にて紫外線の有無がコラーゲン量に与える影響について確認しました。

リコピンがコラーゲン量に与える影響

図1はリコピンがコラーゲン量に与える影響を測定した結果です。紫外線照射無し、リコピン添加無しのときのコラーゲン量を1としてコラーゲン量を表しています。細胞に紫外線を照射するとコラーゲン量が減少しました。一方、リコピンを添加してから細胞に紫外線を照射すると、紫外線によるコラーゲン量減少が抑制されました。また、リコピンを添加し紫外線を照射しない時は、リコピンを添加しない時に比べコラーゲン量が増加しました。
このように、ヒト皮膚線維芽細胞において、リコピンが紫外線照射によるコラーゲン量減少を抑制するとともに、コラーゲン量を増加することを確認しました。今回の研究結果より、リコピンがシワ予防に効果を示すことが期待できます。


■用語の説明

紫外線
地表に届く太陽光の中で最も波長の短いものです。紫外線は波長によってUVA、UVB、UVCの3つに分けられます。UVCはオゾン層にさえぎられ、地表には届きませんが、UVAやUVBは地表まで届きます。紫外線は体内でビタミンDを作るのを助けるなどよい影響もありますが、一方浴びすぎると皮膚や目など生体に悪い影響を及ぼすことがあります。紫外線の強さは時刻や気象条件により変わりますが、一日の中では正午ごろ、季節では5から8月頃に最も強くなります。

光老化
紫外線を長年浴び続けた結果生じるシワやシミといった皮膚の老化現象のことです。光老化の度合いは紫外線を浴びた時間と強さに比例するといわれています。

真皮
皮膚は大きく分けると表皮と真皮からできており、最も外側にあるのが表皮で、その下にあるのが真皮です。真皮には毛細血管や末端神経・汗腺・皮脂腺など多くの機能が集まっています。

コラーゲン
コラーゲンは骨や軟骨などを構成するタンパク質の一種です。コラーゲンには多くの種類があり、I型コラーゲンは真皮の主な構成成分であり、皮膚の強度や弾力を与える働きをしています。コラーゲンの量は加齢や紫外線により減少することが知られており、コラーゲン量の減少はシワ形成の要因の1つです。

リコピン
カロテノイドの1つで、トマトに多く含まれる赤い色素です。カロテノイドの中でも優れた抗酸化活性を有しており、活性酸素が原因と考えられる様々な疾病に予防効果を示すことが期待されています。脂溶性であることから油とともに摂取すると吸収性が高まります。

ウェスタンブロッティング法
目的とするタンパク質を特異的に検出する方法です。今回はタンパク質の一種であるコラーゲンの検出に用いました。


【資料】学会発表の要旨
Photoprotective effects of lycopene for type I collagen in UVA-irradiated human skin fibroblasts

Hirono Sasaki1)2), Hironobu Mori 1), Takahiro Inakuma1), Akimichi Morita2)

(1)Kagome Co.,Ltd., Research Institute
(2) Department of Geriatric and Environmental Dermatology
Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences

Background: Chronic exposure of human skin to UV radiation is a major environmental factor that has serious adverse effects on the structure and function of skin. These changes are referred to as photoaging, i.e., wrinkles and pigmentation. UV radiation induces oxidative stress to the skin. Therefore, antioxidant treatment is considered to be useful for reducing the UV-induced injury.
Object: Lycopene is the main carotenoid in tomatoes and has been identified in human skin. Lycopene is an acyclic carotenoid with 11 linearly-arranged conjugated double-bonds and is a powerful antioxidant. We investigated the effect of lycopene on type I collagen, which is the major structural component of the skin and is suggested to be a cause of photoaging in UVA irradiation of cultured human skin fibroblasts.
Methods: Human skin fibroblasts were cultured and subjected to lycopene treatment for 24 hours. The cells were then irradiated with UVA (30 J/cm2). The UVA-irradiated cells were cultured further for 24 hours. The amount of type I collagen released into the cell culture medium was measured by Western blot analysis.
Results: Lycopene treatment of non-irradiated cells increased the amount of type I collagen in the culture medium. UVA irradiation significantly decreased the release of type I collagen in the medium. Lycopene treatment of UVA-irradiated cells induced a 1.3-fold rise in type I collagen release into the medium.
Conclusion: These results suggest that lycopene increases collagen synthesis and inhibits UVA-induced collagen reduction in human fibroblasts. Lycopene might therefore be effective against photoaging.



【資料】学会発表の要旨(日本語訳)
ヒト皮膚線維芽細胞を用いたリコピンのタイプIコラーゲンに対する光防御効果

佐々木啓乃1)2), 森啓信 1), 稲熊隆博1), 森田明理2)

(1)カゴメ株式会社 総合研究所
(2)名古屋市立大学大学院 医学研究科 加齢・環境皮膚科学

背景:紫外線を長期間浴び続けると、皮膚の構造や機能に障害が生じます。これらの障害は、光老化現象であるシワや色素沈着などを引き起こします。紫外線は皮膚に酸化ストレスを与えます。そのため抗酸化物質の摂取は、紫外線による障害を防ぐのに有用であると考えられます。
目的:リコピンはトマトに含まれるカロテノイドの一種であり、ヒトの皮膚に存在することが知られています。リコピンは11の不飽和結合を持つ非環状構造であり、優れた抗酸化活性を有することが知られています。タイプIコラーゲンは皮膚の主要な構成成分であり、光老化に大きく関与しています。今回はリコピンが紫外線照射時のタイプIコラーゲンに与える影響を、ヒト皮膚線維芽細胞を用いて検討しました。
方法:培養したヒト皮膚線維芽細胞にリコピンを添加し、24時間培養しました。細胞にUVA (30 J/cm2)を照射後、さらに24時間培養し、培養液中のタイプIコラーゲン量をウェスタンブロット法にて測定しました。
結果:紫外線を照射しない時、リコピンは培養液中のコラーゲン量を増加させました。紫外線を照射することで、培養液中のタイプIコラーゲンは減少しました。しかし、リコピンを加えることでタイプIコラーゲン量は1.3倍になりました。
結論:以上の結果より、ヒト皮膚線維芽細胞において、リコピンはコラーゲン合成を増加し、UVA照射によるコラーゲン量減少を抑制することを確認しました。従って、リコピンは光老化対策に有効であると考えられます。