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リコピンに日焼け予防効果、および日焼け由来の肥厚を抑制する効果が期待 さらにビタミンEとの組合せで効果が向上

2010年3月25日

 

 カゴメ株式会社総合研究所(栃木県那須塩原市)は、動物評価においてリコピンが日焼けの症状の1つである紅斑(皮膚が赤くなる反応)および肥厚を抑制する効果を示し、さらにビタミンEと組合せて摂取することでその効果が高まることを明らかにしました。
 なお、本研究内容は日本農芸化学会2010年度大会(3月27~30日、東京大学)において発表いたします。

■研究者のコメント
 リコピンを摂取すると皮膚に蓄積することが確認されております。今回の結果は、紫外線によって生じる紅斑に対してリコピンとビタミンEの組合せによる予防効果が期待できることを明らかにしたものです。また、リコピンは皮膚が硬くなる原因の1つである表皮の肥厚に対しても抑制効果を示すことが明らかとなりました。このことから継続的にリコピンを摂取することは日焼けやそれに伴う肌への悪い影響を予防する効果が期待できます。外に出かければ、紫外線は避けることができません。若く美しい肌を保つためには、衣類や日焼け止めクリームといった外から守る対策法に加え、体の中からリコピンによる紫外線対策を行い、うまく紫外線と付き合っていくことが大切です。

■研究の背景
 紅斑は紫外線を浴びることによって皮膚が赤くなる反応であり、いわゆる日焼けの症状の1つです。これは紫外線を浴びた皮膚の内部で活性酸素が生成することが原因の1つだと言われています。日焼けをして皮膚が真っ赤になればなるほど、内部はたくさん傷ついていることになります。これを長年繰り返していると、皮膚は元通りには戻らなくなり、シミやシワといった症状が現れます。
 トマトに多く含まれるリコピンは活性酸素を消去する力があり、皮膚に蓄積します。このことからリコピンには紫外線によって生じた活性酸素を消去して皮膚を守る効果が期待できます。また、これまでにトマトペーストを摂取した人で紅斑の形成が抑制されたという報告もあります。そこで今回は、リコピンの摂取が紫外線によって生じる紅斑の抑制効果をもつかどうかについて検討しました。

■研究概要
≪目的≫
UVA照射によって生じる紅斑に対するリコピンの予防効果を明らかにすることを目的として、動物を用いて評価いたしました。また、ビタミンEはリコピンと相互作用することでリコピンの効果を高めるという報告があることから、リコピンとビタミンEの組合せについても検討いたしました。

≪試験方法≫
ヘアレスマウスを用いて、試験飼料を3週間摂取させました。その後、照射群には45.3J/cm2・dayでUVA照射を2週間行い、紅斑を誘導しました。試験飼料には、通常飼料、リコピンを混ぜた飼料、リコピンとビタミンEを混ぜた飼料を用いました。リコピンは飼料100gあたりに50mg、ビタミンEは飼料100gあたりに5mgの濃度で添加しました。

表1.動物の群分け
1群 基本(ー) ; UVAを照射せず、通常飼料を摂取する群
2群 リコピン(ー) ; UVAを照射せず、リコピン飼料を摂取する群
3群 リコピン+VE(ー) ; UVAを照射せず、リコピン+ビタミンE飼料を摂取する群
4群 基本(+) ; UVAを照射し、通常飼料を摂取する群
5群 リコピン(+) ; UVAを照射し、リコピン飼料を摂取する群
6群 リコピン+VE(+) ; UVAを照射し、リコピン+ビタミンE飼料を摂取する群

紅斑の指標として皮膚の赤みの変化量を算出しました。また、紫外線によって生じる皮膚障害の1つである表皮の肥厚の指標として表皮の厚さを測定しました。

≪結果≫
図1は、皮膚の赤みの変化量の結果です。UVAを照射した部分の皮膚の赤みを毎日測定し、照射0日目の赤みを0として変化量を算出しました。UVAを照射していない1~3群ではほぼ一定の値であったのに対し、照射した4~6群では有意な赤みの上昇が確認されました。照射群を比較した場合、リコピンを摂取させた5群では4群に比べて赤みの平均値は低く推移し、12日目に有意な差が見られました。また、リコピンとビタミンEを組合せて摂取させた6群ではさらに値は低くなり、8、9、12日目に有意な差が確認されました。よって、リコピンとビタミンEを組合せることにより抑制効果が高まることが明らかとなりました。

図1.皮膚の赤みに与える影響
図1.皮膚の赤みに与える影響
(Mean+S.D. n=7ー8 mice p <0.05 Dunnet vs 基本(+))


図2は、マウスの背部皮膚の写真であり、図3は表皮(写真の中で濃い紫に染まっている部分)の厚さの測定結果をグラフ化したものです。基本飼料を摂取した群を比較すると、UVAを照射していない1群に比べてUVAを照射した4群で有意な増加が確認され、照射によって表皮が厚くなることが確認されました。一方、リコピン及びリコピンとビタミンEを摂取した5、6群でその増加が有意に抑制されていました。このことから、リコピン及びビタミンEと組合せて摂取することは紫外線によって生じる表皮の肥厚に対して予防効果を持つことが期待できることが分かりました。

1基本(ー)群
4基本(+)群
5リコピン(+)群
6リコピン+VE(+)群
1基本(ー)群4基本(+)群5リコピン(+)群6リコピン+VE(+)群

図2.UVA照射開始から14日後のマウス背部皮膚のHE染色


図3 表皮の厚さに与える影響
(Mean+S.D. n=4 mice p <0.05 異なる符号間で有意差あり Tukeyーkramer)
図3.表皮の厚さに与える影響


≪まとめ≫
今回の研究から、リコピンまたはリコピンとビタミンEを組合せて摂取することで、紅斑とそれに伴う皮膚障害の1つである表皮の肥厚を抑制する効果があることが明らかとなりました。
今回の結果より、リコピン及びビタミンEとの併用には日焼けから肌を守る効果が期待できます。


■用語の説明

紫外線:
地表に届く太陽光の中で最も波長の短いものです。紫外線は波長によってUVA、UVB、UVCの3つに分けられます。UVCはオゾン層にさえぎられ、地表には届きませんが、UVAやUVBは地表まで届きます。紫外線は体内でビタミンDを作るのを助けるなどよい影響もありますが、一方浴びすぎると皮膚や目など生体に悪い影響を及ぼすことがあります。紫外線の強さは時刻や気象条件により変わりますが、一日の中では正午ごろ、季節では5から8月頃に最も強くなります。

活性酸素:
酸素分子から派生する、酸化力が強い物質の総称で、体中では細菌に対する攻撃やエネルギー産生に関与していますが、過剰に存在すると生活習慣病の原因になります。

表皮:
皮膚は大きく分けると表皮と真皮からできています(図3)。表皮は最も外側にあり、内側にある筋肉や神経、血管などを守る役割をしています。表皮の細胞は真皮側から外側へと28日周期で入れ替わります。表皮の表面は角質層と呼ばれ、肌のうるおいを保つなど重要な役割を果たしています。図3 表皮の構造
表皮の肥厚:
紫外線によって生じる皮膚の障害の1つであり、シワなど皮膚の老化の原因となります。皮膚が硬くなり、ごわごわする原因の1つです。

リコピン:
カロテノイドの1つで、トマトに多く含まれる赤い色素です。カロテノイドの中でも優れた抗酸化活性を有しており、活性酸素が原因と考えられる様々な疾病に予防効果を示すことが期待されています。脂溶性であることから油とともに摂取すると吸収性が高まります。



【資料】 学会発表の要旨
リコピン及びαートコフェロールとの併用による紅斑形成抑制作用の立証

大亀友華1、板東紀子2、森啓信1、稲熊隆博1、寺尾純二2
1 カゴメ株式会社 総合研究所(略称:カゴメ・総研)
2 徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス 、究部(略称:徳島大・院ヘルスバイオサイエンス研究部)

 皮膚に紫外線(UV)が当たると活性酸素の生成や遺伝子の損傷が起こり、炎症や血流量の増加が引き起こされ、紅斑反応が生じる。リコピンはトマトに多く含まれるカロテノイドであり、皮膚への蓄積が確認されている抗酸化物質であることから、紫外線に起因する皮膚障害の1つである紅斑を予防する効果が期待される。そこで本試験では、リコピン及びα-トコフェロール(AT)との併用がUVA照射によって生じる紅斑形成に与える影響を明らかにすることを目的とし、ヘアレスマウスを用いて検討した。その結果、紅斑の指標である皮膚の赤みはリコピン群で12日目に、リコピン+AT群では、8、9、12日目で有意な抑制効果が確認された。次に、14日目に採取した皮膚の組織切片の解析を行ったところ、炎症症状の指標として用いられる真皮中に浸潤する炎症細胞数がリコピン群及びリコピン+AT群で有意に抑制されていた。また、UVA照射によって引き起こされる皮膚障害の1つである表皮の肥厚も、両群で有意に抑制されていた。よって、リコピンには、UVA照射による皮膚障害を抑制する効果があることが明らかになった。