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ラブレ菌に便通とニキビを改善する効果が期待 ーカゴメ、小沢皮膚科クリニックの共同研究ー

2010年8月3日

 
 カゴメ株式会社(社長:西秀訓)と小沢皮膚科クリニック(東京都多摩市)は、Lactobacillus brevis KB290(以下、ラブレ菌)のニキビ(尋常性ざ瘡)への有効性について試験を実施し、ラブレ菌の摂取により便通が改善すると共にニキビも改善する可能性があることを明らかにしました。
 なお、本研究内容は第28回日本美容皮膚科学会(2010年8月7~8日、京王プラザホテル)において発表いたします。

■共同研究者のコメント

 便通の乱れは様々な疾病に繋がると言われています。中でも、便通を改善するとニキビの治りが早くなることが知られていましたが、科学的に検証した例はありませんでした。そこで、生きて腸まで届く力が強く、便通改善効果があるプロバイオティクスであるラブレ菌を、便秘を自覚しているニキビ患者に摂取してもらい、便通とニキビに対する影響を検討しました。その結果、ラブレ菌を摂取すると、便通が改善すると共にニキビの数が減少しました。便秘に悩むニキビの人にとって、ラブレ菌がニキビ治療の一助となる可能性があると考えられます。

■研究の背景

 ニキビは最も一般的な皮膚の病気です。ニキビの発症には、男性ホルモンの量や皮脂の量、アクネ菌の数が関与しています。ニキビの発症は思春期に多く、自然に治る場合もありますが、大人になるまで持続した場合、肌に痕が残ることがあります。ニキビ治療には一般的に抗生物質や炎症を抑える薬が用いられますが、便秘を伴う患者では便秘を改善することでニキビの症状も改善することが経験的に知られていました。
 そこで、便秘傾向者の便通を改善することが明らかになっているラブレ菌を摂取することで、ニキビを改善できる可能性があると考えました。

■研究概要

≪目的≫
ラブレ菌摂取による便通とニキビに対する影響と両者の関連性を検討するために、便秘を自覚するニキビ患者を対象として試験を実施しました。

≪試験方法≫
・被験者
 便秘を自覚するニキビ患者20名を対象として試験を実施しました。

・試験デザイン
 被験者を無作為に摂取群と非摂取群の2群に分け、塗り薬のアクアチムクリームを使いながら、摂取群にはラブレ菌を含む試験食品を摂取していただき、非摂取群は通常の生活を継続していただきました。試験終了後の排便回数と、ニキビの減少について群間で比較し、ラブレ菌摂取の有効性を検証しました。

・試験食品
 試験食品には、生きたラブレ菌を製造時に100億個以上含むカプセル剤を用いました。試験食品は、1日に1カプセルを、朝・昼・晩いずれかの食後に摂取してもらいました。

・評価項目
 便通については、試験期間中の排便回数と排便日数を被験者に毎日記入していただいた日誌によって調査しました。ニキビについては、試験食品の摂取前後で医師の問診によって、数と重症度を調査しました。

・試験スケジュール
 試験は図1の要領で実施し、試験食品を4週間摂取してもらいました。
図1. 試験スケジュール


≪結果≫
・解析対象者数
 試験を全て完了した摂取群7名、非摂取群7名の14名で解析を実施しました。

・排便回数
摂取期間中1週間当たりの排便回数が、摂取前観察期間からどの程度増加したかを摂取群と非摂取群で比較しました。摂取群では排便回数が増加し、便通が改善したことが示唆されました(図2)。
図2. 排便回数の増加量
・ニキビの数
試験開始時に全ての被験者にみられた軽症の赤ニキビについて解析しました。試験食品摂取後に、摂取前と比べて減少したニキビの数の割合(減少率)を計算し、摂取群と非摂取群で比較しました。摂取群ではニキビの減少率が高く、非摂取群よりニキビが改善したことが示唆されました(図3)。
図3. ニキビの減少率

・便通とニキビの関連性
便通とニキビの関連性を検証するために、被験者を排便の増加とニキビの改善の有無で分類し該当する被験者の数を表1に示しました。排便の増加とニキビの改善の双方がみられた被験者は8人、ニキビの改善はみられたが排便の増加がみられなかった被験者は2人、排便の増加はみられたがニキビの改善がみられなかった被験者は1人、排便の増加もニキビの改善もみられなかった被験者は3名でした。摂取群は7人中6人が排便の増加とニキビの改善があるに分類されました。また、便通とニキビは統計学的に関連する傾向がありました。

表1. 排便の増加の有無とニキビの改善の有無で分類した被験者の数
表1. 排便の増加の有無とニキビの改善の有無で分類した被験者の数
数字は該当する摂取群の被験者数/非摂取群の被験者数を示す


≪まとめ≫
 今回の試験から、ラブレ菌を摂取することで整腸作用を介してニキビが改善する可能性が示唆されました。現在、さらに詳細にラブレ菌のニキビへの有効性を検証し、そのメカニズムを明らかにするための試験を計画しています。


■用語の説明
ラブレ菌
学名 Lactobacillus brevis KB290 → 通称、ラブレ菌
京都の漬物「すぐき」から(財)ルイ・パストゥール医学研究センター(京都)で分離され、その整腸作用や免疫賦活作用が研究されてきました。

整腸作用
排便状況(排便回数、便性状)を改善する作用のみを指す「狭義」と、排便状況改善のメカニズムである腸内菌叢バランスの改善作用を含む「広義」があります。実際の整腸作用の試験では、便中の菌数や菌叢(腸内細菌の構成やその割合)も排便状況と併せて調査しています。

アクネ菌
主に毛穴で生息している酸素に弱い菌で、ニキビの原因菌とされています。通常は害を及ぼしませんが、毛穴が皮脂などで塞がれると急激に増殖し、その箇所が赤味を帯びます。

赤ニキビ
ニキビの症状が進行すると、患部が赤くなります。出来始めの症状が軽い赤ニキビは、塗り薬や飲み薬で治療することで比較的早く治療できます。さらに症状が進行すると、痛みが強くなり治療に時間がかかる他、治った後に痕が残り、痕が消失すには数年以上かかると言われています。

排便回数の増加量
排便回数の増加量は、以下のような計算式となります。
排便回数の増加量=(摂取期間1週当たりの排便回数)-(摂取前観察期間の排便回数)

ニキビの減少率
ニキビの減少率は、以下の計算式となります。
ニキビの減少率



【資料】 学会発表の要旨

【演題名】
Lactobacillus brevis KB290(ラブレ菌)の尋常性ざ瘡への有効性及びざ瘡と便通の関連についての予備的検討 

【発表者】
○信田幸大1)、小澤雅邦2)、矢賀部隆史1)、矢嶋信浩1)
1)カゴメ株式会社総合研究所
2)小沢皮膚科クリニック

【抄録】
[目的]便秘は、尋常性ざ瘡(以下、ざ瘡)の発症や悪化に関与すると考えられている。Lactobacillus brevis KB290(以下KB290)は整腸作用があるプロバイオティクスであり、便秘のざ瘡患者に対して、整腸作用を介し、ざ瘡を改善する可能性がある。そこで、KB290のざ瘡への有効性及びざ瘡と便通の関連について予備的に検討した。[方法]便秘を自覚するざ瘡患者を被験者とし、無作為にKB290摂取群、非摂取群に群分けした。試験食品にはKB290を約1.0×10(10)cfu含むカプセルを用い、朝昼晩いずれかの食後に1カプセル摂取してもらった。摂取前観察期間を1週間、摂取期間を4週間とし、試験期間中のざ瘡の症状と病変数及び排便回数を調査した。[結果]摂取群(n=7)では、非摂取群(n=7)と比較して有意に排便回数が増加すると同時に、軽度の炎症性ざ瘡の病変数が有意に減少していた。また、排便回数の増加とざ瘡の改善には関連がある可能性が示唆された。[結論]KB290の摂取により、整腸作用を介し、ざ瘡を改善する可能性が示された。