佐藤錦は大正時代に15年以上もの長きにわたる改良により誕生した品種で、甘く、日持ちする品種として一躍人気に。現在でも、国内トップブランドの地位を守っています。
そんな佐藤錦を四方を山に囲まれた静かな盆地に広がるさくらんぼ園地で育てている若手生産者の阿部さんは農家の5代目。
「さくらんぼの木は推測ですが70年ぐらいは生きられるんじゃないかと思っています。
俺、23歳からさくらんぼ始めたんですけど、さくらんぼの木を最後まで面倒みようとすっと、90歳ですよ。
工業製品じゃないんで、1年に1回の経験で覚えていくしかない作業ばっかしだから毎年、勉強っす」。
なだらかな山容の月山(がっさん)を遠くに望む山形県天童市。ここは、一番人気の佐藤錦の主産地です。
佐藤錦は長年の品種改良ののち、昭和3年に登場し、雨除けの施設栽培と生産技術の向上及び輸送手段の発達により、全国に広がりトップブランドになりました。
5月上旬ごろ、満開の時期を迎えると「今年もいよいよ始まるなあ思う」と阿部さん。
さくらんぼは、同じ品種同士では、結実しにくいため園地には必ず違う品種の和合性のあるさくらんぼを受粉樹として交えて植えたり剪定した受粉樹の枝を置いたりするのだそうです。
受粉には蜂を使いますが、寒いと蜂の活動が鈍るため手作業で受粉作業を行うこともあり、その方法は花粉を取りだす為にさくらんぼの花を乾燥させて花に毛ばたきで受粉させるというもの。気の遠くなるような作業ですね。
月山の頂上にまだ雪が残る6月中旬ごろ、佐藤錦は色づき始め収穫が始まります。大切に育てた佐藤錦、収穫にも細心の注意を払います。
さくらんぼの実(軸)の根元には、次の年の芽ができていたり、繊細な果実の為、軸を引っ張るのではなく、そっと横にスライドさせるようにして収穫するそうです。
「柔らかくなりやすい果実で、雨にあたると実割れする。それを防ぐために、園地のハウス上部にビニールをかけ収穫します」と阿部さん。
とても繊細なフルーツだからこそ手間もかかり、お天気次第では労が報われない年もあります。なので、「さくらんぼづくりは博打」とも言われています。
6月中旬から7月上旬の約2週間で収穫を終えてしまう短期決戦型のフルーツなので、収穫が終盤を迎える頃には、さくらんぼの顔も見たくなくなるほど疲労困憊だそうです。
収穫後、作業場で大きさや彩りで選別され、贈答用には美しくパック詰めされます。
パック詰め作業は、指先の微妙な力加減が必要な根気のいる大変な作業ですが、ひとつのアート作品を作っているような楽しさもあるのだそうです。
「見た目もかわいいし、こうして粒をそろえて並べたら、やっぱりきれいでしょう!」と阿部さん。
きちんときれいにパック詰めされた佐藤錦はまさに宝石。ルビーのような輝きを放っていました。
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