もともと大規模みかん栽培のために山間部に開発されたみかん団地。ご高齢になった生産者の畑を、5~6年前に借り受けて始めたセミノールづくりでした。
既に30年ぐらい前に植えられたセミノールが、草ぼうぼうの園地に残されており、立ち枯れた樹も目立っていたそうです。
「除草剤などは使わず草刈りから始めて、肥料をまいて、立ち枯れた樹を引っこ抜いて新しい樹を植えて…畑じゃなくて、開墾地に手を入れてるみたいでした」と当時を語ってくれたのは脇田さん。
ほとんど素人同然の脇田さんが県の栽培指導員さんのアドバイスで、地道に園地を手入れし、剪定で新しい枝を伸ばして…やっと復活させた農園です。
「毎年、ちょっとずつ樹形が整い、美しい実が収穫できるようになった。最近セミノールは人気が出てきてうれしいわ。ふつうのみかんとはちょっと違うぞ、という気持ちでつくっとります」。
「セミノール」はアメリカ生まれ。昭和36年、三重県の篤農家・桂さんの畑に移植され、10年間の試作期間を経て、見事、市場デビューを果たしました。
耐寒性に優れた品種で、ひと冬越した4月頃、酸が抜けた果実を収穫する夏向きのジューシーな柑橘です。
それを1月に早摘みして、独特の香りや酸味を楽しむのが、「早摘みセミノール」。ポリフェノールの一種・ヘスぺリジンも豊富です。
みかんの樹が吸い上げた栄養は、天辺まで登りつめてから再び降りてくることが最近わかったのだそうです。
栄養が幹や主枝から細く分かれた小枝の先まで行き着くためには、けっこうなストレスがかかるので、小枝が細く伸びた先にある果実ほど甘くなる傾向があるそうです。
「有葉花(ゆうようか)と言って、文字通り葉っぱと花のつぼみが一緒になってスーッと伸びた新芽を大事にする。
これが果実に育つと甘いんですわ。有葉花をなるべく長く伸ばすように、指導員さんと協力しながらやっとります」。
「セミノールは他のみかんと比べたら育てるのは楽なほうだと思う。消毒をしないから、その手間がかからない。
しかも早摘みするから摘果も袋掛けの必要もない。でも、除草剤をまかないので、草刈りが大変!」。
園地はもちろん、周辺の道にも除草剤をまけないので、夏場は草が育つのと競争で草刈りに専念するそうです。
「あとは、剪定かな。昔は手に当った枝は切れ、と言われたらしいけど、今はなるべく垂直に立っている枝を残しつつ、さっき言ったみたいに、
葉っぱと花が一緒に芽吹く有葉花がたくさん出るように見極めて剪定するのが大変かな」。
樹勢を保つ剪定、新芽をのばす剪定…毎年勉強しながらの6年間も、まだまだ入口に立っただけ、と笑う脇田さんです。
大きなみかん団地では、いろんな生産者が区画を借りてセミノールを育てています。お隣さんは「早摘み」ではなく、袋をかぶせて完熟させ4月に収穫する育て方。
袋をかぶせるので、日焼けしない美しい真っ赤な果実になります。「まだまだ勉強の途中やけど、来年はもっとええのをつくろう!と毎年思っとる。
袋掛けしてる人たちに負けんような美しいセミノールを、袋掛けせんとつくってやろう!と思ってるんです」。
消毒や除草剤を使わず、袋掛けもしないで育てる…これは、樹勢の強いセミノールだからこそできること。
セミノールの力を信じて。セミノールとの二人三脚が続きます。
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