全国には地方それぞれに「南蛮」と付く唐辛子の仲間があります。新潟県長岡市山古志の神楽南蛮もそのひとつ。ゴツゴツとした外見が神楽の面に似ていることから、その名が付けられたそうです。辛みの奥にほのかな甘みを持つ神楽南蛮。この山古志地区では昭和40年頃まで交通が不便だったため、そのおいしさは地元の人たちだけのものでした。その後、道が整備され神楽南蛮のおいしさが全国に知られるようになりました。
1月31日 愛菜の日
愛菜の思いをもっともっと知っていただくために野菜についてのトリビアを紹介。
食べるだけではなく、食文化や歴史などを知ることでもっと野菜が好きになるかも!?
五箇山かぶらは、富山県西部の砺波平野から五箇山の中山間地にかけて栽培されている赤かぶ。雪深いこの地域の大切な冬の野菜源となるため、根部は塩漬けし葉は干して保存されます。五箇山かぶらは、その昔、平家の落人が持ち込んだと言われ、五箇山の各地域で栽培されてきました。そのため、地域によりかぶの赤い色や形状が農家ごとに違っているという特徴が見られます。世界遺産の村に長く伝わる伝統の赤かぶです。
伝統文化と職を大切にする金沢で古くから親しまれている加賀伝統野菜。加賀太きゅうりは昭和11年頃にできた作物で、種は門外不出として守られてきました。重さ500〜600グラムの大きなきゅうり。肉が緻密で柔らかく甘みが深いので、あんかけなどで食べると、ホクホクしておいしく食べられます。
福井県坂井市春江町で栽培されている越前白茎ごぼうは、葉も茎も食べられる珍しい葉ごぼうです。平安時代にシベリアから渡来し、越前地方に根付いたと考えられています。葉は、若く柔らかいうちに茎と一緒に食べると美味とされ、天ぷらやおひたしなどで食べられます。茎や根は、きんぴら風に調理したり、かきあげや煮びたしにして食感も楽しみます。
山梨県は富士山や八ヶ岳、南アルプスなど標高2000メートルを越える山々に囲まれた自然豊かな県です。ぶどうや桃などの果樹王国として知られていますが、スイートコーンの栽培も盛んです。山梨のスイートコーンは、実が先まで詰まっていて甘く、粒皮が柔かいため、一度食べたらファンになってしまい毎年買い続けているという人も多いそうです。茹でずにラップでくるみ電子レンジで加熱すれば、甘みがぐんと際立ちます。
長野県のほぼ中央に位置する松本地区は、周囲を2000メートル級の山々に囲まれた典型的な盆地です。その松本盆地には、幾筋もの川が流れ込んでいます。こうした水を利用して松本市周辺ではセロリをはじめ、シャキシャキと瑞々しい野菜が作られています。生食以外にも炒めたり、スープ、漬物として食べられています。
十六ささげは、岐阜県本巣市などの地域で栽培される飛騨・美濃の伝統野菜。さやの中に豆が約16個入っていることから、この名前がつけられました。地元では十六ささげがお店に並ぶと、夏の到来だと言われています。東南アジアが原産と考えられている十六ささげは、蒸し暑い熱帯夜には、20センチも生長します。きゅっきゅっとした食感が特徴で、生姜醤油と和えたり、炒め物にしたりして食べられます。
メキャベツは名前に「メ(芽)」と付いていますが、キャベツの若芽ではありません。葉の付け根に結球する特別なキャベツの仲間です。夏の暑さで大きさを増し、冬の寒さで甘みを増すメキャベツ。「遠州の空っ風」と呼ばれる強い西風が味をさらに甘く育てます。メキャベツは、静岡県の菊川市、掛川市、御前崎市にまたがる平野部で主に栽培されています。
愛知県弥富市は江戸時代から盛んに行われた干拓によってできた地域です。水路が縦横無尽に張り巡らされ、陸路よりも水路のほうが発達していたと言われるほどの水郷の町。木曽川がもたらす滋味あふれる土のおかげで、弥富では米でも野菜でも、とてもよく育ってきたそうです。カリフラワーもまたそのひとつ。真冬の冷たい風も農家の方が大きな葉を一枚一枚かぶせ、大切にこまめに世話を施し、収穫を待ちます。
揖斐川、長良川、木曽川に囲まれた長島地区は土地が肥沃で、昔からたくさんの作物が栽培されていました。とくに燃料としての菜種油は江戸でよく売れ、「江戸の灯りは伊勢で持つ」とまで言われました。しかし、明治に入ると安価な輸入燃料に押され、菜種油は次第に売れなくなってしまいました。地元の人は燃料としての菜種づくりから、野菜としてのなばな栽培に考え方を変え、おいしいもの同士を掛け合わせおいしいなばなをつくってきました。以来、三重なばなは三重県の代表的なブランド野菜になりました。