トマトの旬や色のヒミツ、
カゴメが開発したトマトを始め、
世界各国
いろいろなトマトの品種を紹介します。
トマトの系統は大きく分けて2種類。
収穫時期や栄養の違いについて
勉強します。
日本ではピンク色が多い
少し前までスーパーや八百屋さんで見かけるトマトは、完熟しても色づきが浅い「ピンク系」と呼ばれる品種がほとんどでした。日本で作られている約8割が「ファーストトマト」や「桃太郎」のようなピンク系トマトだったのです。
しかし、ごく最近、ピンク系トマト一色だった日本の市場に変化が見えてきました。イタリア料理の流行などで、パスタに欠かせない食材としてトマトが調理して食べられるようになってきました。同時に、生活習慣病の予防につながるとしてトマトの色素・リコピンが注目されるようになり、店頭でも赤系品種の真っ赤に熟したトマトをちらほら目にするようになってきたのです。実際は世界的にみて、主流は赤系のトマトなのです。
トマトの赤は太陽の恵み
店頭で売られているピンク色のトマトを見慣れているせいか、真っ赤なケチャップやトマトジュースには着色料が含まれている、なんて思っている人もいるのでは?答えはもちろんNO。ではなぜ生と加工品では、あれほど色が違うのでしょう?
それは、第一に品種がちがうから。加工用のトマトは専用に改良された品種で、皮がかたく、真っ赤な色が特長です。そして、栽培方法も大きくちがいます。
自然の姿で育つ加工用トマト
サラダなど生で食べるトマトは、支柱で茎を支えながら、脇芽を摘み、上へ上へと伸びるように育てられます。この栽培方法はビニールハウスにも向くため、一年中収穫が可能です。
一方の加工用のトマトは、栽培コストを下げるという理由もありますが、より多く日差しを浴びることができるように、支柱を使わず地面をはわせるように育てます。当然収穫は真夏に限られます。もともとトマトは地をはうように成長する植物。加工用のトマトは、生で食べるトマトよりも野生種に近いため、自然の姿に近い育て方が向いているのです。
トマトの種類は本当にたくさん。
カゴメが開発した
トマトをはじめ、
数え切れないほどの種類があります。
カゴメが開発した
トマトたち
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カゴメのトマト
明治末期にアメリカから入ってきた、ポンテローザやジューンピンクをもとに大正時代につくられた品種。生食用と加工用のどちらにも使われた。 -
カゴメのトマト
ジュースに最適な品種。甘みと酸味のバランスが良い。完熟すると果肉の芯まで真っ赤になる。 -
カゴメのトマト
リコピンをより多く含むように改良した品種。主にジュースに使われ、リコピンの量は生で食べるトマトの約3~5倍。 -
カゴメのトマト
ジュース用のトマト。収穫のとき、果実にヘタが付いてこないように改良されたジョイントレスといわれる品種。加工する際にヘタを取り除く手間が省ける。 -
カゴメのトマト
一般のミニトマトと比べ、皮が薄く、食べたときに口の中に表皮が残らないように改良。甘みがつよく、表面はサクランボのようなツヤがある。 -
カゴメのトマト
生で食べるトマト。やや小ぶりの卵型やプラム型の赤系の品種。甘みと酸味のバランスが良い。 -
普通トマトはヘタのついてるすぐ上に節(ジョイント)があって、そこからヘタごとに取れます。でも加工用のある品種(KGM993など)にはこの節が無く(ジョイントレス)、もぎとるとヘタが実に付いてこないよう改良されています。
おもに生で食べられている
トマトたち
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生食用のトマト
サラダなど生で食べるトマトの代表。果実はしっかりしていて、酸味より甘みがつよい。完熟してからの収穫もできるピンク系の丸型トマト。 -
生食用のトマト
冬から春にかけて出回る、生で食べるトマト。酸味と甘みのバランスがよく、果肉もしっかりしている。とがったおしりが特徴。 -
生食用のトマト
一個10~20gとサクランボ程度の大きさなのでチェリートマトともいう。甘みがつよく、赤・オレンジ・黄色などの色や形のバラエティも多い。
おもに加工用に
使われているトマトたち
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加工用のトマト
イタリアのトマトの代名詞ともいえる品種。甘みと酸味のバランスが良く、うまみ成分も多い。長円筒形の果実。 -
加工用のトマト
小ぶりで洋梨形。果汁が少なく、ピューレーやケチャップなどの加工用に使われる。リコピンは生で食べるピンク系トマトの約2倍。 -
加工用のトマト
1967年に日本で生まれた品種。支柱を立てた栽培方法から、支柱なしの方法に転換する時期に東北地方を中心に栽培された。低温でもよく実る。 -
カゴメが保有しているトマトの種子は7,500種類。アメリカの国立の研究機関では、なんと10,000種類以上が保存されています。なぜこんなにたくさん種類があるかというと、トマトは原産国ペルーから世界各地へ伝えられる過程で、その土地の環境や用途、また人々の味の好みによって品種改良が重ねられてきたからなのです。
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加工用のトマト
1977年に日本の農林水産省野菜試験場で育成された加工用品種。果実の形は小ぶりの卵形。 -
加工用のトマト
アメリカで開発された品種。ホール、ダイスなどのトマト缶詰用として、イタリアでも広く栽培されている。果実はサンマルツァーノより短い円筒形。
野生のトマトたち
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トマトの野生種
南米ペルーのアンデスの太平洋側が原産地。直径1cm、1~2gの小さな果実で、熟すと赤、黄色などに色づき食べられる。 -
トマトの野生種
原産地は南米エクアドル南部からペルー中部。直径約2cm、約3g程度の緑色や緑白色の小さな果実。葉や実には細やかな毛が密生している。 -
トマトの野生種
原産地は南米ペルー、チリ北部の太平洋側。直径約2cmの緑白や紫色の小さな果実。酸味、苦みがつよく、一般には食用にされない。
その他
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観賞用のトマト
日本にトマトが伝わった江戸時代、狩野探幽がスケッチしたものと同じ形のトマト。平べったく、肩にはシワが多い。 -
生食、加工兼用のトマト
明治末期、ポンテローザと同時期に日本に入ってきた。味、外観はポンテローザと似ている。日本の生食用トマトの育種材料としても利用された。 -
生食、加工兼用のトマト
明治末期にアメリカから入ってきた品種。果汁が多く酸味がよわく、トマト独特の匂いも少ないため、日本人に好まれ、トマトはピンク色で大きいというイメージを植えつけた。