


いちじくは、日本には江戸時代初期に伝わり、家々の庭の隅っこに植えておく果樹として親しまれてきました。現在、全国生産量の約2割を占めるのは愛知県。そのほぼ中央に位置する内陸部の街、安城市・碧南市周辺で広く栽培されています。
見渡す限りの平野が広がる安城市は農業の盛んな地域であり、世界的に有名な自動車メーカーのお膝元近くでもありますから、田園と工場や宅地が共存しているエリアでもあります。
定年を機に農業に本腰を入れたという水野さんご夫婦の畑は、もとは田圃。ご両親が1970年代の減反政策を契機にいちじく栽培を始めたという、いちじく農家の2代目です。
「僕らが結婚したときに両親が植えてくれたのが、この畑のいちじくで、ちょうど43年目。僕が勤めている間は、両親とカミさんが主にやっていて、僕は収穫や消毒の手伝いぐらいだったけど、僕ら夫婦と同じ年月を生きて来たんだなあ、と思うと、やっぱり可愛いよね(笑)」。
ご夫婦の歩みを知っているいちじく畑なのです。