


元禄8年(1696年)、漢方医が都から苗木を持ち帰り育てたのが始まり、という言い伝えが残る臼杵市乙見地区には、その元祖木が残っています(原木は昭和63年に枯れてしまい、現在あるのは2代目)。かぼす栽培ひとすじ25年のベテラン、峯さんの畑は、その元祖木のすぐ近く。山の斜面を切り拓いた園地に、青々としたかぼすが枝を広げています。小さい頃には、お母さんがかぼすを搾って砂糖を入れてくれた飲み物がたまらなく美味しかったと、懐かしそうな笑顔の峯さん。「風邪のひき始めなんかにも飲みよるし、みそ汁にも入れるんよ。刺身、焼き魚…何にでもかぼす使っちょるなぁ」。今は、仕事の後の一杯に「かぼすをちょっと搾ってクイーッとやる」のが、活力の源だそうです。