5月に花を咲かせたレモンは、じっくり半年かけて果実を育て、10月頃には、青いレモン(グリーンレモン)が収穫できるようになります。
黄色く色づいたレモン(イエローレモン)の収穫は、さらに2か月後の1月下旬~4月上旬です。
そんなレモンの大敵は「風」!レモンがかかりやすい「かいよう病」は、台風の風で伝染して、大きな被害をもたらすからです。
また、-3℃が8時間以上続くと枯れてしまうといわれるほど寒さにも弱いので、年間を通して温暖な瀬戸内海の気候が、レモン栽培にうってつけでした。
「陽当たりのいい斜面に畑をつくってくれて、ご先祖さまや先輩たちのおかげだね」と牧本さん。これが瀬戸内に「レモン産地」が大きな理由のひとつなのです。
瀬戸内のレモンには、かつて2度の大きな危機がありました。昭和39年(1964年)の「レモンの輸入自由化」と昭和51年(1976年)、56年(1981年)の大寒波によって、生産量は一気に半減。
レモン農家が、つくる気力を失うほどの、壊滅的な打撃でした。「ところが、10年で瀬戸田のレモンはよみがえったんよ!」と牧本さん。
「当時の農協の組合長さんがこれからのレモンは伸びるからと呼びかけて、みんなもう一度、植え始めたんだよね。先見の明と強い信念、それと度胸があった。」とのこと。
気候に恵まれていただけではありません。志の高い先輩たちの存在が、「レモン産地」を広げてきたんですね。