トマトジュースにピッタリなトマト
「りりこ」が、種子からトマトジュース
になるまでをご紹介します。
世界中にトマトは、1万種類以上あります。カゴメの総合研究所は、そのうちの約7,500種類のトマトの種を持っています。
カゴメのトマトは、すべて交配※1によってつくりだします。
トマトは基本的に、一年に一度しか実をつけないため、品種の開発には長い時間がかかります。カゴメがジュース用トマトの開発をはじめて70年以上たった2002年トマトジュースにピッタリなトマト「りりこ」が生まれました。
種の大きさは、1つぶ約3mmです。
①用意よういするもの
(1)土
みずみずしく、大きなトマトを実のらせるためには、たくさんの土が必要です。栄養をたっぷりふくんだ土を、「りりこ」の苗1本あたり10リットルくらい用意しましょう。
(2)場所
鉢やプランターで育てる場合は、たくさんの土が入る大きなものを用意します。右の写真のように土の量をふやしたり、土の入っている袋をそのまま使うのもよいでしょう。
畑に植える場合は、植える1週間くらいまえに、土に肥料をまぜて、たがやしておきます。さむい地域では、マルチというシートをかけて、土の温度がさがりすぎないようにします。鉢と畑、どちらの場合も、元気に苗が育つよう、日あたりと風とおしのよい場所をえらびましょう。
②植えつけ
トレイのまわりをかるくおして、苗をとり出しやすくします。苗元を指でおさえながらトレイをさかさにすると、かんたんにとり出せます。むりにひっぱると、苗がおれたり、根が切れたりするので、気をつけましょう。
苗の根の部分(土がついているところ)が、土の中にぜんぶ入るように、ふかくあなをほって、苗を土の中に入れます。土と苗の間にすきまができないよう、まわりから土を入れ、苗がたおれないようにかるくおさえます。
根元にたっぷりと水をやり、根に土をなじませます。
③水やり
水やりは、土の表面がかわいてきたら午前中に行ないます。水や葉やくきにかからないように気をつけながら、根元に与えましょう。
1回にあたえる水の量は、鉢の場合は、底から水がにじみ出るくらいがちょうどよく、水がザーザーと流れ出るようでは、多すぎます。水をやりすぎると根がいたんだり、土の中の栄養分が流れ出てしまいます。
反対に水が足りないと、実が大きく育たなかったり、花がさいても実がつかなかったりします。休日などで水やりができない場合には、鉢の下に水受けのトレーをおいて水をはっておくとよいでしょう。
定植したあと、3~4週間くらいで、黄色い花がさきはじめます。花がさいたら、つぎの作業をしましょう。
① 芽かき
しっかりと大きな実を収穫するため、栄養分が実へたくさんとどくように、枝を整理することを、「芽かき」といいます。 さいしょの花がさいたら、はれた日に1回だけ、芽かきをしましょう。
下のイラストのようにはじめにさいた花の下に出ている「わき芽(葉のつけねから出てくる芽)」のうち、上から2~3本のこして、その他のわき芽(大きさが3~5cmくらいの小さなもの)を手でつみとります。
つみとったきず口からばい菌などが入らないように、きれいに手をあらってから作業しましょう。
② 着果促進
花がさいても、授粉しないと実はなりません。そこで、花がじゅうぶんにひらいたら、ゆびで花をかるくたたいてみましょう。花粉が出て、受粉しやすくなります。
いちばん花粉が出やすい、はれた日の午前中に行なうのがポイントです。
① 追肥:肥料をあたえる
着果すると、実を大きくするために、栄養分がたくさん必要になります。栄養が足りてないと、実が大きくなりません。そこで、着果したら栄養分(肥料)をあたえます。これを追肥といい、実をたくさんしゅうかくするために必要な作業です。
鉢やプランターでそだてる場合は、土にたくさんの栄養をキープしておくことができないため、1週間に1回ずつ、液体の肥料を根元にあたえましょう。
広い畑でそだてる場合は、土の中にたくさんの栄養があるので、2~3週間に1回くらい追肥します。
肥料は多すぎても、少なすぎても、苗が弱ってしまいます。おうちの人や、先生に相談しながら、肥料の説明書に書いてあるとおりの量をまもってあたえましょう。
② 支柱立て
ふつうのトマトは支柱を立てて育てますが、「りりこ」は「芯止まり品種」といって、高さが70cmくらいで止まる特長があります。農家の人が支柱を立てる手間がかからない、葉は全体に日があたるなど、広い畑でたくさんの苗をそだてる場合に便利な品種です。
しかし、せまい場所や、学校などでたくさん鉢を並べてそだてる場合は、日あたりと風とおしをよくするために、支柱を立てたほうがよいでしょう。
苗1本につき、1メートルくらいの支柱とビニールひもを用意します。
右上のイラストのように茎と支柱の間に少しすきまができるように、ゆるく8の字型にしてビニールひもでしばります。
③ 敷きワラ
雨などで土がはねて、葉や実に土がつくと、病気になったりくさりやすくなったりします。支柱を立てないでそだてる場合は、枝が地面につくようになったら、ワラなどを敷き、土につかないようにします。また、苗がむれると病気になりやすいため、からみあった枝はほどいて、風とおしをよくしてあげましょう。
実が大きく、まっ赤になったら、収穫をしましょう。
「りりこ」は「ジョイントレス品種」といって、ヘタが茎と一体になっています。ジュースにするのに、ヘタはいらないのです。
ハサミがなくても、実をひねるようにすると、手でかんたんにとれます。
のうかで収穫された「りりこ」は、カゴメの那須工場にはこばれて、
ジュースになります。