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ザクロに強い抗酸化作用を確認 ~活性酸素が原因となる生活習慣病予防に期待~

2003年9月30日

 カゴメ株式会社総合研究所(栃木県西那須野町)は、9種のフルーツの抗酸化作用(活性酸素を消去する作用)の比較を行ない、ザクロが強い活性を有することを明らかにしました。本研究内容は、日本果汁協会主催の、平成15年度(第46回)果汁技術研究発表会(9月9日銀座ガスホール)において発表致しました。
 本研究では、日本のフルーツジュースの中で、機能性研究の素材として取り上げられる果汁や、よく飲まれている果汁のうち、9種のフルーツ(ザクロ、プルーン、ブルーベリー、グレープ、アップル、ピーチ、オレンジ、グレープフルーツ、パインアップル)の水溶性画分について、2種類の活性酸素(スーパーオキシド、ペルオキシナイトライト)と1種類の合成ラジカル(DPPH)を用い、抗酸化作用の比較を行ないました。
 その結果、ザクロが最も強い活性を示し、次いで、プルーン、ブルーベリー等に活性が認められました。
 この結果から、ザクロ、プルーン、ブルーベリーなどの抗酸化作用が強いフルーツを継続して摂取することにより、活性酸素が原因となる生活習慣病に対する予防効果が期待できます。
スーパーオキシド消去活性の測定結果
スーパーオキシド消去活性の測定結果
DPPHラジカル消去活性の測定結果
DPPHラジカル消去活性の測定結果
ペルオキシナイトライト消去活性の測定結果
ペルオキシナイトライト消去活性の測定結果
試験内容
各果汁を遠心分離し、その上清を100倍希釈したものについて、スーパーオキシド消去活性、DPPHラジカル消去活性、ペルオキシナイトライト消去活性を測定した結果を図.1〜図.3に示しました。いずれの評価系においても、ザクロが最も強い活性を示し、次いで、プルーン、ブルーベリー等に活性が認められました。
図の説明 図.1〜図.3について
各サンプルの差が明確にでた100倍希釈液での測定結果を示しました。値 が大きいほど抗酸化作用が強いといえます。
メカニズム
 ザクロの水溶性成分の抗酸化作用は、主に、アントシアニン類(デルフィニジン、シアニジンなど)やタンニン類(エラグ酸、プニカラギンなど)による効果であると考えています。
研究のきっかけ
 最近では、ガン、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病で亡くなられる方が約7割に達し、生活習慣病の原因となる活性酸素の消去(抗酸化作用)が重要な課題となっています。活性酸素には、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、一酸化窒素、ペルオキシナイトライトなどがあり、これらは、ストレス、飲酒、喫煙、紫外線などの影響によって増加します。過剰に発生した活性酸素は、DNA、脂質、タンパク質を傷つけ、生活習慣病を引き起こします。
 近年、カロテノイドやフラボノイドなどに抗酸化作用が発見され、これらの物質を多く含む食品の摂取が生活習慣病予防に有効であることがわかってきました。カロテノイドは緑黄色野菜などに含まれる脂溶性物質で、活性酸素の中でも、一重項酸素に対する消去作用が強いという特徴があり、一方、フラボノイドに代表されるポリフェノール類は、フルーツやお茶に多く含まれる水溶性物質で、スーパーオキシドなどのラジカルに対する消去作用が注目されています。
 米国では、健康増進のために、野菜とフルーツを合わせて、1日5サービング(日本では皿と訳されています)以上の摂取を推奨する「5 A DAY」 運動が行なわれており、摂取量が飛躍的に増加しています。それを受け、日本においても、同様な「5 A DAY」運動が推進され、その中で、350gの野菜と200gのフルーツの摂取が推奨されています。
 さらに、国民の健康増進のために厚生労働省が中心となって進めている「健康日本21」運動では、食生活における目標として、野菜を1日350g以上摂取することや、1日の食事においてフルーツを摂取している人の割合を増加させることが掲げられています。
 そこで、野菜およびフルーツについて、素材ごとの抗酸化作用の特徴を明らかにすることは、生活習慣病予防への活用を図る上で重要であると考え、広く研究を進めております。
用語の説明
活性酸素:
酸素分子から派生する、酸化力が強い物質の総称で、体中では細菌に対する 攻撃やエネルギー産生に関与していますが、過剰に存在すると生活習慣病の 原因になります。
ラジカル:
不対電子という不安定な状態の電子をもつ物質の総称で、活性酸素の中では、 スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、一酸化窒素などが該当します。
スーパーオキシド:
活性酸素の一種で、酸素分子に電子が一つ入った状態の物質です。活性酸素 の中でも体内での発生量が多いとされており、より強力な酸化力を有するヒ ドロキシラジカルの発生源にもなります。
ペルオキシナイトライト:
活性酸素の一種で、体内では、スーパーオキシドと一酸化窒素の反応によっ て発生し、スーパーオキシドよりも強い酸化力を有します。
ポリフェノール:
多くのフェノール性水酸基を持つことで抗酸化作用を有する物質の総称で、 代表的なものとして、フラボノイド、アントシアニン、カテキン、タンニン などがあります。
DPPH:
ジフェニルピクリルヒドラジルの略称で、抗酸化作用の評価に良く用いられ ている、合成のラジカルです。
平成15年度(第46回)果汁技術研究発表会
果汁の水溶性画分における抗酸化作用について
 カゴメ株式会社 総合研究所 有本 靖,庄子佳文子,稲熊隆博

 体内で発生する活性酸素には、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、一酸化窒素、ペルオキシナイトライトなどがあり、これらは、ストレス、飲酒、喫煙、紫外線などの影響によって増加する。過剰に発生した活性酸素は、DNA、脂質、タンパク質の酸化的障害を引き起こし、生活習慣病の原因となると考えられている。近年、カロテノイドやフラボノイドなどに活性酸素を消去する作用(抗酸化作用)が発見され、これらの物質を多く含む食品の摂取が生活習慣病予防に有効であることがわかってきた。カロテノイドは緑黄色野菜などに含まれる脂溶性物質で、一重項酸素に対する消去作用が強いという特徴があり、一方、フラボノイドに代表されるポリフェノール類は、フルーツやお茶に多く含まれる水溶性物質で、スーパーオキシドなどのラジカルに対する消去作用が注目されている。フルーツの抗酸化作用の強さを明らかにすることは、フルーツ飲料市場の活性化につながると考え、本研究では、果汁の水溶性画分における抗酸化作用(スーパーオキシド消去活性、DPPHラジカル消去活性、ペルオキシナイトライト消去活性)の比較を行なった。
 試料として果汁の遠心上清を希釈したものを用い、スーパーオキシド消去活性は、発色試薬としてテトラゾリウム塩(WST-1)を用いた比色分析法、DPPHラジカル消去活性はDPPHの吸光度を指標とした比色分析法により測定を行なった。ペルオキシナイトライト消去活性は、ペルオキシナイトライトとチロシンとの反応により生成する3-ニトロチロシン量をHPLCで測定する方法を用いた。また、試料中の総ポリフェノール量をフォリン-チオカルト法にて測定した。
 いずれの評価系においても、ザクロが最も強い活性を示し、次いで、プルーン、ブルーベリー等に活性が認められた。これらの抗酸化作用は、主に、アントシアニンやタンニンなどのポリフェノール類によると考えられる。ザクロはエストロゲン様作用を有することで注目されていたが、抗酸化作用においても突出した活性を有することが明らかとな チた。