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Lactobacillus brevis KB290(ラブレ菌)を含む乳酸菌飲料による 慢性便秘患者の下剤使用量低減効果を確認 ~カゴメ総合研究所と松生クリニックが 日本乳酸菌学会2008年度大会(7月14-15日開催)にて発表~

2008年7月9日



カゴメ株式会社総合研究所(栃木県那須塩原市)と松生クリニック(東京都立川市)は、Lactobacillus brevis KB290(以下、ラブレ菌)の整腸作用についての研究を進めております。
今回、慢性便秘患者38名を被験者として試験を行い、ラブレ菌を含む乳酸菌飲料の慢性便秘患者の下剤使用総量への効果を調査しました。本研究内容を、2008年7月14-15日に京都大学百周年時計台記念館で開催される日本乳酸菌学会2008年度大会にて発表いたします。


■共同研究者 松生クリニック 松生 恒夫院長のコメント
 腸は、体を作ったり動かしたりするために不可欠な栄養素を吸収するのと同時に、体内の老廃物の7割以上を便として排泄する、生命維持に不可欠な役割を担う器官です。このような大切な腸の働きが低下すると、健康に様々な悪影響を与えます。腸の働きを表すバロメーターのひとつとして、体からの「お便り」、すなわち便がありますが、日本では便秘に悩む人は500万人にも上るといわれており、特に女性では体の悩みの上位に便秘があげられるという調査結果もあります。さらに悪いのは、最近では市販の便秘薬を安易に服用し、下剤を飲まなければ排便できない「下剤依存症」に陥っている人が増えていることです。「下剤依存症」は下剤を飲めば飲むほど腸の働きが低下するという悪循環で、どんどん進行してしまいます。
 便秘の治療は、適切な下剤の投与と食事や運動といった生活習慣の指導によって行いますが、通常、便秘が解消するまでには時間がかかるものです。プロバイオティクスといわれる乳酸菌は、これを摂取すると、腸内に共生する細菌のバランスが改善され、腸の働きを活発にすることから、便秘の改善が期待されています。
 今回、ラブレ菌を含む乳酸菌飲料を慢性便秘患者に摂取していただいたところ、下剤の使用回数と使用総量の両者が低減しました。この結果から、ラブレ菌を含む乳酸菌飲料を食事に取り入れることが、慢性便秘患者の排便を下剤に頼ったものから自然なものに改善する一助になると考えられます。今後も、ラブレ菌を含む食品の効果をさらに検討して行きたいと考えています。


■研究の背景
 ラブレ菌は便秘傾向者を対象とした試験により、生きて腸まで到達し、善玉菌であるビフィズス菌の占有率や乳酸桿菌の数を増加させること(第61回日本栄養・食糧学会大会発表)、排便回数と排便量を増加させること(日本農芸化学会2008年度大会発表)が明らかとなっています。これらの結果からラブレ菌は、腸内菌叢を改善することによりお腹の調子を整えるプロバイオティクスとしての効果が示されています。
 今回は、ラブレ菌を含む乳酸菌飲料の慢性便秘患者の下剤使用総量への効果を検討するために、慢性便秘患者38人に、ラブレ菌を含む乳酸菌飲料130mLを1日1本8週間摂取していただき、下剤使用回数と下剤使用総量の変化を調査しました。


■研究概要
【試験方法】
通院治療中の慢性便秘患者を募集し、同意を得られた方を対象に、まず、4週間前観察を行いました(摂取前期間)。その後、ラブレ菌を含む乳酸菌飲料130mLを1日1本8週間毎日摂取していただきました(摂取期間)。摂取前期間及び摂取期間中毎日アンケートを記入していただき、下剤使用回数と下剤使用総量を調査しました。試験を完了した38名の慢性便秘患者について、アンケートの結果から下剤使用回数、下剤使用総量を解析しました。


【結果】
摂取前と比べて摂取期間中の下剤使用回数は1.6から1.4回/日に(図1)、下剤使用総量は3.2から2.7錠(包)/日になり(図2)、有意に低い値を示しました。

図1;下剤使用回数の変化
図1;下剤使用回数の変化
摂取前と比較して有意差あり(*:p < 0.05、対応のあるt検定、n=38)


図2;下剤使用総量の変化
図2;下剤使用総量の変化
摂取前と比較して有意差あり(**:p < 0.01、対応のあるt検定、n=38)


【結論】
以上のことより、ラブレ菌を含む乳酸菌飲料の摂取は慢性便秘患者の下剤使用回数や下剤使用総量の低減に効果があることが示唆されました。慢性便秘患者の薬剤に頼った排便が自然な排便に改善される一助になる可能性が考えられました。今後もラブレ菌の機能性を科学的に検証し、その価値を明らかにしていく予定です。


■用語説明
≪ラブレ菌≫
学名 Lactobacillus brevis KB290 → 通称、Labre (ラブレ菌)
京都の漬物「すぐき」から(財)ルイ・パストゥール医学研究センター(京都)で分離され、その整腸作用や免疫賦活作用が研究されてきました。

≪整腸作用≫
排便状況(排便回数、便性状)の改善および排便状況改善のメカニズムである腸内菌叢バランスの改善作用を整腸作用といいます。

≪便秘傾向≫
便秘の定義は明確に定められておらず、研究者によって定義が異なりますが、一般的に排便の間隔が不規則な場合、毎日排便がある場合でも排便に苦痛を伴う場合を指します。便秘傾向とは、これらの症状を示しますが、加療には至っていない場合で、排便が2週間で4〜10回の状態としました。

≪慢性便秘患者≫
便秘の定義は明確に定められておらず、今回は通院治療を行っている方を慢性便秘患者としました。

≪下剤使用回数≫
1日に慢性便秘患者の方が下剤(内服薬と座薬)を使用した回数を下剤使用回数としました(同時の場合は1回としました)。

≪下剤使用総量≫
慢性便秘患者には様々な下剤(内服薬と座薬)を使用されている方がいます。そこで、今回は1日に慢性便秘患者の方が使用したすべての下剤の錠剤(分包剤)を合計した量を下剤使用総量としました。

≪対応のあるt検定≫
2つの群の平均値の差を比較するために用いられる統計学の手法がt検定です。中でも今回のように同じ被験者についてラブレ菌を含む乳酸菌飲料の摂取前期間と摂取期間の測定値があり、両期間の全被験者の平均値の差を比較する場合は対応のあるt検定が用いられます。p値は「平均値に差がない」確率を示す値で、値が低いほど「平均値に差がない」とはいえない、つまり「平均値に違い(有意差)がある」と判断します。