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生物多様性保全

生物多様性保全の基本的な考え方

カゴメは、トマトをはじめとした野菜・果実など、たくさんの自然の恵みを利用して、商品づくりを続けてきました。カゴメは自然の力を活かした商品を提供することで、世界の人々の健康長寿に貢献したいと願っています。
自然の恵みを育んでくれる農地の生物多様性は、農地や里山という生態系が守られることで成り立っており、それらへの配慮はカゴメにとって、たいへん重要な課題です。健全な作物は、多様な生物が活動する豊かな農地から生まれ、農地は人間が管理することで健全に保つことができます。
カゴメは今後も自然に感謝し、この大切な農地の生態系や生物多様性を保全することを方針とし取り組んでいきます。

生態系豊かな里山のトマト畑
生態系豊かな里山のトマト畑

土づくりからの栽培指導と生物多様性保全型の農業

カゴメは安心・安全・環境に配慮した栽培思想の下、畑の土づくりから指導し、過剰な化学農薬、化学肥料を使用しない栽培に取り組んでいます。

農薬の使用方法へのこだわり
栽培上必要な農薬は使用しますが、生態系を崩さないためのカゴメのこだわりがあります。

  • ●トマトに使用可能な農薬170成分から、生産性と消費者・生産者・環境に配慮した49成分に絞った「カゴメ使用農薬自主基準」を設定し使用
  • ●毒物に指定された農薬の排除
  • ●環境ホルモンの疑いのある農薬の排除
  • ●土壌中の生物・微生物、天敵、河川に流れた場合の魚類に悪影響があるとされる農薬の排除
  • ●BT剤(微生物農薬)など、環境への影響が少ないとされている農薬の優先的な使用
  • ●カゴメの一斉分析法で分析可能な農薬の優先的な使用
  • ●現地担当者が畑を巡回する際、病虫害発生状況を確認し、迅速に診断を行い、適切な農薬の使用を指導することで、農薬の使用を最小限に抑制
  • ●毎年発生した病虫害の状況を総括し、病虫害の予防に力点を置くことで、農薬使用量を低減
  • ●トマト栽培を組み入れた輪作体系により土壌中の微生物相を多様にし、連作障害や病虫害の発生を抑制
  • ●農薬散布履歴の確認や、残留農薬の自社分析(一斉分析による約550農薬の迅速な検査)で、「カゴメ使用農薬自主基準」が守られているかを確認

肥料の使用方法へのこだわり

  • ●有機質肥料である堆肥・緑肥を積極的に使用し、化学肥料使用量を抑制する土づくりを推奨しています。
  • ●作付け予定の畑の土壌を事前にカゴメが分析し、畑の状態に合わせた施肥設計を指導、その後、トマトの葉や果実を用いた生育診断で、トマトの生育に最適な肥料の使用量を決定することで、土壌への過剰な肥料の使用を抑制しています。
カゴメの担当者による栽培指導
カゴメの担当者による栽培指導
有機質肥料を多く含む畑の土
有機質肥料を多く含む畑の土

トマト畑における生物多様性の調査

カゴメは、農地の生物多様性を保全しながら適切に管理していくことが、事業を通じて持続的に生き物や環境を守るために重要だと考えています。
そこで2011年度に国内のトマト畑の生物多様性を客観的に評価するために、生物多様性の専門家とともに調査を行いました。
その結果、カゴメの事業が生物多様性に対して最も大きいプラスの影響を与えるのは、農地を適切に維持・管理することでした。
さらに2012年度に畑における生物多様性の実態について、農地の生物多様性評価委員会(代表:東京農工大学 星野義延教授)を立上げ、カゴメの契約栽培農家の露地栽培トマト畑の生物多様性を調査した結果、多くの生物が確認され、生き物調査の評価指標とされるカエル・クモ等において生息にほとんど影響のない状態が保たれていることがわかりました。

調査結果概要(調査場所:栃木県2ヶ所の露地栽培トマト畑とその周辺、調査時期:2012年春・夏・秋)

●植物について
トマト畑では、連作すると農地の栄養の偏りが起こりやすいため、翌年には異なる作物が栽培されるのが一般的です。そうした輪作により、農地の土壌中に眠る種子がとどまっていること、さらに隣接した農地同士でも栽培糧が異なるため、同じ農地同士、隣接する農地同士で、出現したり、土壌中に眠ったりする植物があることがわかりました。
●動物について
環境省絶減危惧II類(栃本県では準絶滅危惧種)に指定されている猛禽類のオオタカの狩猟行動やヒパリやセッカの生息が周辺で確認され、トマト畑が鳥類において生息に影響のない環境と考えられました。また、農薬に弱く、他の生物の食物連鎖に係るため、生き物調査の評価指標とされることが多い、両生類のカエルにおいても、2つの畑において3種以上のカエルが確認され、 トマト畑の管理がカエルの生息にほとんど影響のない状態を保っていることがわかりました。昆虫調査では、農薬害虫とされる種の天敵となる益虫としてトンポ類や八チ類などが多く確認されました。クモ類については、わらが積まれている畝の間とわらの少ないところでは、場所によって生息するクモに違いがありました。
ニホンアマガエル
ニホンアマガエル
オオカマキリ
オオカマキリ
クモの調査
クモの調査

持続的な農業の推進

国内における持続的農業の推進

契約栽培による持続的農業の推進

国内の加工用トマト(トマトジュースの原料などに使用)は、契約栽培で生産しています。
カゴメの契約栽培とは、契約した農家の皆さんと、栽培を始める前に価格を取り決め、契約した畑から収穫されるトマト全量を買い上げる栽培方法です。カゴメから種子や苗を提供し、栽培方法を指導し、安定した収量を確保することで農家の皆さんがトマト栽培を通じて、経営の安定化を図ることができます。
近年、農家の高齢化が進み、農地の維持が困難になる問題が生じています。これに対し、機械収穫などの省力化栽培や、収穫しやすい品種(ヘタがトマトに残らない等)の開発を行い、作業負荷を減らしトマト栽培の継続を支援しています。
農地の生物多様性は、農地が維持・管理されて成り立ちます。トマト栽培を続けることで、耕作放棄地の抑制、生態系豊かな農地の維持に努めています。

契約農家へのジュース用トマト栽培方針説明会
契約農家へのジュース用トマト栽培方針説明会
トマト収穫作業機
トマト収穫作業機
日本の農業振興と地域創生の取組み
■自治体との協定締結により農業振興を推進

カゴメは、全国の自治体などと協定を結び、日本各地の特産品や旬の味覚の魅力をカゴメブランドの商品として全国にお届けする「地産全消」運動を2010年にスタートさせました。協定は15の県と地域に上り、農産物の原料としての採用だけでなく、災害時の救援物資の提供、農業と経済の発展を目的としたものなど、幅広い連携が各地で進展しています。

協定を締結した府・県・団体(2017年3月現在)
協定を締結した府・県・団体
■日本各地の野菜や果実を野菜飲料の原料に使用

「地産全消」活動の核となる「野菜生活100 季節限定シリーズ」は、使用した果実の旬の時期に期間限定で発売。数量限定とすることにより、商品のコモディティー化を防止し、貴重な原料の価値を高めたまま販売できます。これにより原料の産地に適正な利潤をもたらし、継続的な農産物の栽培につなげていくことが可能となります。

野菜生活100季節限定シリーズ
日本各地の野菜や果実を原料に使用した「野菜生活100季節限定シリーズ」
全国の生産者と消費者の連携による地域農業の活性化

通販事業部では、既存の「健康直送便」に加え、新たなビジネスブランドとして「農園応援」を2016年10月に立ち上げました。「農園応援」は、食における地域や農業への関心の高まりを好機に、カゴメが日本全国を訪ねて出会った、地域に眠る価値ある農産物を次世代に受け継いでいくための応援活動です。地域生産者が丹精込めて育てた農産物と、それらを使ってカゴメが作った商品をストーリーとともにお届けしていきます。カゴメは「農園応援」を通して、地域生産者と消費者をつなぐことで、地域農業の活性化や地方創生に貢献したいと考えています。

農園応援

海外における持続的農業の推進

トマトの栽培指導による海外の農業基盤の整備

世界の人口増加に伴い、トマトの消費量拡大が予想されます。これまでのトマトの主要産地以外の育成を主目的のひとつとして、当社はポルトガルに「アグリビジネス研究開発センター」を設置しました。同センターでは現在、多くの人口を擁する西アフリカ地域を視野に入れ、セネガルにてトマト栽培・加工事業に向けた調査を進めています。これらの地域では、トマトペーストが食文化に根付いていますが、多くを輸入に頼っています。カゴメは、現地における栽培技術の向上と、事業モデルの確立によって、現地の農業基盤の整備をめざしています。

2016年度は現地平均収量(30t/ha)の2倍以上が達成可能なことを実証
2016年度は現地平均収量(30t/ha)の2倍以上が達成可能なことを実証
最先端の加工用トマト栽培技術の研究開発

2015年3月より、ビッグデータを活用した海外における最先端の加工用トマト栽培技術の開発に着手しています。具体的には、試験圃場に設置した気象・土壌などの各種センサや人工衛星・ドローンなどから得られるデータと、灌漑・施肥などの営農環境から得られるデータを活用し、トマトの生育状況や気象条件に応じた水・肥料・農薬などの最小限の使用で収穫量の最大化を達成することで、農業の高付加価値と環境負荷を極少化する農業の実践をめざしています。

収穫は、2015年夏期シーズンで、ポルトガルの平均の約1.5倍にあたる146t/haを実現
収穫は、2015年夏期シーズンで、ポルトガルの平均の約1.5倍にあたる146t/haを実現

遺伝資源の維持と活用

イノベーション本部では、約7,500種類のトマト遺伝資源を保管しています。これは民間企業では世界有数。いろいろな遺伝的特徴を持ったトマトの種子を収集し、交配を重ねて新たな有用品種を生み出しています。
種子は一定の温度、湿度で保管していますが、年数が経つと発芽率が落ちるため、順次更新しています。このようにして、蓄積した貴重な遺伝資源を絶やすことなく維持しています。野生種など一部の遺伝資源については公的な研究機関等にも提供しており、ジーンバンク的な役割を果たしています。
収集した遺伝資源の保有形質は再評価し、病害抵抗性品種(農薬使用量が低減)の開発等に活用しています。
2016年度は病害抵抗性を有する生鮮トマト品種など計10件の品種登録出願を行いました。

トマトの種子
トマトの種子
イノベーション本部の種子庫
イノベーション本部の種子庫
豊富な遺伝資源から生まれた多様なトマト
豊富な遺伝資源から生まれた多様なトマト
各国の栽培環境やマーケットに合わせた種子の開発

米国カリフォルニア州をはじめ世界8カ国に拠点を持つUnited Geneticss Holdings LLC.では、トマトをはじめとする野菜の自社品種を開発し、世界80力国以上に種子や苗を提供しています。ブリーダーと呼ばれる開発者が、遺伝子組み換えではない従来の交配技術により長い年月をかけて品種改良を行い、各国の栽培環境やマーケットニーズに適した品種ができるまでトライアルを繰り返します。このようにして開発された野菜は病気に強く高い収量を上げることができ、農業の生産性向上に大きく貢献しています。

温室トマトの受粉用のハチを外来種から在来種に切り替え

カゴメは1998年、生鮮トマトの生産・販売事業を開始しました。屋外の加工用トマトとは違い、風のない温室トマトは受粉にハチを使用します。外来種のセイヨウオオマルハナバチが、問題を引き起こす可能性のある特定外来生物の候補に挙がっていることを知り、2004年5月から、直接管理する全国3ヶ所の大型温室を在来種のクロマルハナバチに切り替え、以降新設の5つの大型温室は最初からクロマルハナバチを使用しています。当初このハチの繁殖技術はまだ確立しておらず、トマトの品質や経済性への影響も不透明でしたが、カゴメが開発を後押しし実現しました。今では日本の生鮮トマト栽培の全量をクロマルハナバチで賄えるまでに技術確立されています。

菜園の大型ガラス温室
菜園の大型ガラス温室
在来種のクロマルハナバチ
在来種のクロマルハナバチ

生物のいのちの大切さの教育支援

カゴメは1999年から、毎年、全国の小学校・幼稚園・保育園に、カゴメトマトジュース用トマト「凛々子(りりこ)」の苗を無償でお届けしています。子どもたちの「命への関心」「感謝する心」を育む学習教材として活用いただいています。

<小学校の先生のご意見>
害虫や病気、台風の被害など「凛々子」が収穫できるまで、たくさんの試練がありました。しかしその度に、児童たちの「『凛々子』を助けたい!」という想いが強くなり、書物で対応策を調べたり、近隣の農家の方に相談するなどして意欲的に凛々子の世話をしました。また、野菜の収穫までには長い時間と手間がかかるなど生産者の苦労や工夫があることを学びました。
その結果、子どもたちは生産者や食べ物に感謝することの大切さに気づき、給食の残菜が減ることにつながりました。

トマトジュース用トマト「凛々子(りりこ)」
トマトジュース用トマト「凛々子(りりこ)」
凛々子の栽培を通した学習
凛々子の栽培を通した学習