準備するもの
- きゅうりの苗
- 深さ30cm以上の大型プランター
- 培養土
- 鉢底石
- 仮支柱(70cm程度)
- 本支柱(2m程度)
- ひも(麻ひもなど)
- 移植ごて(小型の園芸用シャベル)
- 化成肥料
- 園芸用ハサミ
苗選び
市販の苗木には、接ぎ木苗(つぎきなえ)と実生苗(みしょうなえ)とがありますが、初心者には病気に強く、収穫量も多い接ぎ木苗が育てやすくておすすめです。本葉が3~4枚あるものを選びましょう。
植え付け
プランターに植え付ける2時間前くらいに、苗にたっぷりと水やりをします(こうすることで、苗が簡易のビニール容器から抜けやすくなります)。
大型プランターの底に鉢底石を置いて培養土を入れます。苗を植える穴(簡易ビニール容器の中の土ごと入るサイズ)を掘ったら、水を注ぎ入れます。水が培養土に浸透したら、植え穴の中に土ごと苗を入れて、土をかぶせていきます。最後に両方の手のひらで苗の根元を軽く押さえます。植え付けは4月下旬~5月中旬(寒冷地は5月中旬~6月中旬)が適しています。
仮支柱立て
植え付けたら、苗から少し離れたところに仮支柱を立てます。茎にひもをかけて誘引(※)。ひもは、苗の一番目と二番目の本葉の間の茎にかけます。ひもを茎と仮支柱にかけて数回ねじって、十分な「遊び」を設けて、しっかりと結びます。最後にプランターの底から流れ出るまで、たっぷりの水を与えます。

本支柱立てと誘引
つるが伸びてきたら、プランターの縁に添って2mほどの本支柱を3本立てます。円錐状に上部を束ねてひとつに結びます。
茎を葉柄(茎と葉をつないでいる細い柄の部分)の下、2カ所で誘引します。茎にひもをかけ、数回ねじって支柱に結びます。仮支柱の際と同様に、必ず「遊び」を設けておきます。きちんと結ばないと強風時に折れたり、きつく結びすぎたりすると成長の妨げになるため注意しましょう。
摘果・整枝・摘芯
実がなりはじめたら、最初の2~3本は15cmほどになったタイミングで摘果(若採り)します。まだ株が若いので疲れさせないためです。実にトゲがある品種の場合は、トゲが少ない首の方を持つと収穫がしやすいでしょう。
また、下から5節(5番目)までの葉の付け根から出るわき芽はすべて摘み取ります。これを「整枝」といいます。これにより、親づるが育ちやすくなるだけでなく、葉が茂りすぎないため株の内側への風通しもよくなります。
その後、6節(下から6番目)以上のわき芽は、葉を1~2枚程度残してその先を摘み取ります。つるが支柱の高さまで伸びたら、枝数を増やすために先端の芽を切り取ります。これを「摘芯」といい、茎と葉の生長を止めて、実の部分に栄養をまわすために行う作業です。

追肥
肥切れを起こさないように、1カ月に2~3回(10~15日に1回)、化成肥料10gを表土全体にまき、軽く土寄せ(根元に土を寄せかけること)をします。
こまめな誘引
きゅうりはつるの伸びが早いので、こまめな誘引が必要です。つるはつかまるものがないと、重さで垂れ下がってしまいます。その場合、垂れた部分とその下の数カ所にひもをかけて結び誘引します。
収穫
植え付けから約40日で本格的な収穫が始められます。収穫の時期は、開花から1週間程度。へたの部分から、ハサミで切り取り収穫します。ほうっておくとヘチマのように大きくなり食味が悪くなるので、実の長さが18~20cmになったらどんどん収穫しましょう。そのほうが、株が疲れず長く収穫できます。
最後に
採れたてのきゅうりをぜひ味わってください。

藤田 智
1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は160冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
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