農業の生産性・持続性が向上する技術・サービスの提供

約7,500種のトマトの遺伝資源を活用した品種開発

遺伝子組み換えではない従来の交配技術により、各地域の栽培環境やマーケットニーズに適した品種改良を行い農業の生産性向上に努めています。
2019年には北海道の農業で深刻な問題となっている外来の害虫「ジャガイモシストセンチュウ」と「ジャガイモシロシストセンチュウ」に対して、抵抗性と密度低減効果を持つ加工用トマトを開発しました。本品種の活用を通じて、北海道における加工用トマトの産地拡大を図るとともに、持続可能な農業にも貢献します。

『ジャガイモシストセンチュウ対策としての抵抗性加工用トマトの開発』は、令和3年度(第22回) 民間部門農林水産研究開発功績者表彰において、農林水産大臣賞を受賞しました。

加工用トマト収穫機「Kagome Tomato Harvester(KTH)」の普及活動

農業従事者の高齢化が進み、栽培中止や規模を縮小する生産者が増える一方、国内加工用トマトの必要量は増加しています。
その解決策の一環として、農業機械メーカーと共同で加工用トマト収穫機「Kagome Tomato Harvester(KTH)」を開発しました。輸入収穫機と異なり、日本の圃場に適合したコンパクトな設計としています。
現在は特に北海道・東北地方において機械収穫の面積が拡大しています。2021年9月には、いわみざわ農業協同組合、ヤンマーアグリジャパン株式会社北海道支社と、JAいわみざわ管轄内における加工用トマトの産地拡大の推進を目的とした連携協定を締結しており、加工用トマト収穫機の普及に取り組んでおります。
農家にとって負担が重い収穫作業の機械化をすすめることにより、加工トマト栽培の面積維持・拡大に貢献します。

AIを活用した加工用トマトの営農支援

加工用トマトの生産は新興国を中心とした人口増加や経済成長に伴い今後も拡大が見込まれますが、持続可能なトマト栽培には、生産者減少への対応や環境負荷低減など様々な課題に取り組む必要があります。
それらの課題を解決するために、2022年、日本電気株式会社(NEC)と共同で、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う合弁会社「DXAS Agricultural Technology」をポルトガルに設立しました。AIを活用した営農アドバイスサービス、センサーや衛星を活用した圃場可視化サービスなどの普及に取り組んでいます。カゴメの栽培技術とNECのテクノロジーの融合により農業革新を起こし、環境に優しく、収益性の高い営農を促進することで、世界各国での持続可能な農業に貢献します。

生鮮トマトの大規模ハイテク菜園の展開

菜園では、温室内外の温湿度・日射量・風向・風速をモニタリングし、天窓換気、温湯暖房、遮光カーテン、細霧によってトマトに適した環境になるようにコントロールしています。
2022年には生鮮トマトの需給調整の際に重要な情報となる収量予測の精度を高めることを目的に、AI を活用した生鮮トマト収量予測システムを独自開発し、カゴメブランドの生鮮トマトを栽培する一部の大型菜園に導入しました。今後、カゴメの生鮮トマトを供給する他の大型菜園においても本技術の導入を進め、持続可能な農業生産~需給システムを確立していきます。