カゴメグループは商品の原料となる作物の栽培に水を使い、加工段階でも多くの水を使用しています。日本は水が比較的豊かといわれていますが、世界では水不足が深刻な地域が存在しています。そのため、水の負荷をできる限り少なくすることが必要です。
カゴメグループは、活動する地域の水資源を守るため、それぞれの地域に合ったサステナブルな対応を進めていきます。
カゴメグループの海外工場及び主要サプライヤーについて世界資源研究所(WRI)が提供する「WRI Aqueduct」を活用し、拠点ごとに水リスクを把握しています。海外工場とはこれを共有し、実際の状況を踏まえて水リスクの高い地域を特定しています。その結果、海外のカゴメグループ8工場では、オーストラリアに干ばつ・大雨のリスクが高いことがわかりました。
国内の生産拠点においては、特に水リスクの高い拠点はありません。
オーストラリアのKagome Australia Pty Ltd.では、2017年に4月の大雨等でトマト栽培に大きな被害が発生しました。過去のデータを調査した結果、4月後半に大雨のリスクが高いことから、2018年からは気候変動に適応し、リスクの高い時期を避けてトマト栽培を行うなどのリスク回避を図っています。また、逆に干ばつのリスクもあるため、冬に工場で使用した水をダムに貯水し、春に近隣農家に提供し、水の再利用にも努めています。
国際的な非営利団体CDPは、気候変動や水に対する企業の取組をグローバルに評価しています。評価はA, A-, B, B-, C, C-, D, D-の8段階です。カゴメは、CDP水セキュリティ2020でスコアBの評価を受けました。
カゴメグループでの2020年度の取水量は、7,516千トンとなり、2019年と比較し0.3%の増加となりました。
海外での水の取水源は、米国とオーストラリアが水道水で、ポルトガルとイタリアは井戸水、台湾は水道水と井戸水を使用しています。
2018 | 2019 | 2020 | ||||
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取水量 | 排水量 | 取水量 | 排水量 | 取水量 | 排水量 | |
日本 | 3,247 | 3,068 | 3,137 | 2,889 | 3,111 | 2,654 |
米国 | 239 | 126 | 241 | 148 | 212 | 12 |
ポルトガル | 4,095 | 2,671 | 3,641 | 2,977 | 3,673 | 2,889 |
オーストラリア | 296 | 0 | 322 | 0 | 358 | 0 |
イタリア | 110 | 94 | 82 | 71 | 61 | 51 |
台湾 | 66 | 47 | 75 | 47 | 103 | 61 |
合計 | 8,053 | 6,006 | 7,498 | 6,132 | 7,517 | 5,666 |
カゴメの工場では、原料農産物の洗浄や製品の冷却などで大量の水を使用していることから、効率的な水利用や再利用などを促進し、水使用量の削減に努めています。
2020年度における国内全工場の水使用量は、工場の節水対策の徹底により2019年度比2.1%減少して2,777千t、生産量あたりの使用量は、2019年より3.3%減少し、7.0t/klとなりました。
今後も使用方法の再点検や冷却水の再利用などを通じて水使用量の削減に努めます。
各工場には排水処理施設を設置し、工場内で使用した水は法律で定められた基準に基き、きれいな状態にして河川に放流することで地域に還しています。また、工場が所在する地域に水質保全のための条例等※がある場合は、その基準を順守し、その水域の環境保全に努めています。
※茨城県霞ヶ浦及び北浦水域における排水基準
愛知県第8次総量削減計画
カゴメは、長野県の「森林の里親促進事業」制度を活用して、2015年8月8日に長野県富士見町との間で里親契約(カゴメが里親、富士見町が里子)を締結しました。
富士見工場で使用している井戸水の水源となる入笠山山系の恵みに感謝し、入笠山(長野県富士見町)の約150haの区域を「カゴメの森」と命名し、森林保全・整備活動を行っています。毎年の活動として、5月に植樹、7月に下草刈りを実施していますが、2020年は新型コロナの影響により、10月に下草刈り活動のみを行いました。あわせて、富士見工場では2005年度から富士見町主催の入笠山植栽ボランティアにも参加しています。