キウイは雌雄異株。雄花をつける雄株と雌の花をつける雌株があるのです。「雄花より、雌花の方が断然キレイ」と話すのは、お義父さんからキウイ畑を受け継いで11年目の久保さん。
みかん畑とキウイ畑を見回る日々です。「5月の連休の頃にみかんの花が終わると、20日前後からキウイの花が咲き始める。
下向きに少しぶら下がるように咲きよるんやけど、一斉に咲いたら、それは見事、華やかや!」。
キウイは、自然交配すると7割は雄花になるのだとか。雌株の畑に雄株を混植することもありますが、ほとんどの農家さんは雄株は別の畑で育て、
雄花から花粉を採って雌花につけています。人間の手で受粉を確実にほどこして、果実を育てるためです。
ニュージーランドの国鳥「キウイ」に似ていることから「キウイフルーツ」と呼ばれて、ニュージーランドから大量に輸入されていましたが、
近年、日本国内でも栽培され始めて、国産キウイもポピュラーになりました。薄い皮さえむけば丸ごと食べられることから、
イチゴと並んでビタミンCを手軽に補給できるフルーツとしても人気があります。
果肉が緑色のものがおなじみですが、赤や黄色い果肉の品種も登場して、キウイもカラフルになってきました。
キウイは、同じ土地であれば、大玉ほど甘いといわれるそうです。そのために、冬の間の剪定と、春先の新梢の管理が大事なのだとか。
「親指ほどの太さの枝を選んで、下向きの芽を先端に残して切り、30~50cmの中~長枝をたくさんつくるようにするの。
下芽から先は枝が伸びず、春先には、その下にある節から新梢が伸ばしてやると、大きな玉がつきやすい。春先に強い風が吹いて新梢が折れるとガックリだよ。
でもまあ、玉が肥るためには、天候も大きく影響するし、自分の知識や経験だけでは、なかなか大きな玉はできんね?。そこが面白くもあるんやけど」。
キウイづくりを始めて3年目ぐらいに、「大きな玉が採れ始めよったときは、うれしかったねえ」と語る久保さんですが、
大きな果実ばかりだと、玉数が少なくなるので、収入を考えるとバランスが難しいと笑います。
花時に雨が多いと発生しやすいのが「花腐れ細菌病」。蕾が芯まで黒ずんでしまうと消毒しても最早手遅れ。
病気で落ちる分を見越して多めに受粉させておくのが対策です。そして最も警戒すべきなのが「かいよう病」。
葉っぱに褐色の斑点がでたり、新梢が伸びずに黒ずんで枯れたりします。果肉が緑色のヘイワード種は比較的かいよう病に強く、
枝ごと切り落とせば樹が助かることもあるそうですが、果肉が赤い紅妃種などは、樹ごと枯れてしまいます。
近年、ニュージーランドで大発生して大きな問題になっているそうです。一方、手がかかるのは雄花の花粉を採取して雌花につけてやる受粉作業。
「毎朝夜明けとともに起きて、開く前の雄花を摘み、花粉を取って、乾燥させて、午前中に雌花に花粉付けの作業。
花粉は前の年に取って置いたのを使うんだけど、一つひとつ雄花を摘むのも、その花粉を振るうのも細かい作業だもんで、根気がいるし、骨が折れる」。
次から次にふくらむ蕾、開く花と追いかけっこの1ヵ月が続きます。
「フルーツ農家は、どんなフルーツも同じやろうけど、収穫のときのずしりとした手応えは、やっぱ格別やね。
一年の苦労がむくわれるんやけん」ずしり、の手応え、大玉キウイは普通250gぐらいだそうですが、300g玉は無理、といわれているそうです。
「いっぺん300g玉つくっちゃろうと思って、270gぐらいまではつくったことがある。何度か挑戦したけど300gは越えんなあ」と悔しそうな久保さん。
ツルの突先に1個だけ実を残してあとは全部摘果してしまう、メロンやスイカのようなつくり方ならいけるのでは?
「いやそう簡単には行かんのが、自然を相手にする農業という仕事なんだよね!」
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