津軽平野に点在するりんご畑。そのどこからでも霊峰・岩木山が望めます。「春には白やピンクのりんごの花が満開になって岩木山を包み、秋は赤や黄に色づいたりんごの実が岩木山を縁取ってるみたいでさぁ。写真を取りにくるカメラマンも多いよ」と自慢するのはりんご農家5代目の成田さん。高台に建つご自宅の庭先から、ゆるやかな傾斜が岩木山に向かって広がる成田さんの畑は、まさに絶好の撮影ポイント!朝に夕に、岩木山を拝みながら、りんごの樹を一本一本見回るのが健康の秘訣!だそうです。代表的な品種「ふじ」は地元(藤崎町)にあった園芸試験場が交配を重ねて育成した品種。また「つがる」はその名が示すように青森県りんご試験場が育成した品種。まさに郷土の誇りの≪りんごと岩木山≫、津軽人の心のど真ん中にある風景なんですね!
冬のりんご園地は、どっぷり1メートルほどの雪に埋もれます。真っ白な雪原、厳しい寒さにじっと耐えているようなりんごの樹…でもじつは、この雪、りんごの樹を休ませ、花芽をつける力をぐぐっと蓄えさせてくれるフカフカのベッドの役割も果たしているのです。冬の間、天気のいい日を見計らって行う剪定作業は、美味しいりんごを育てる原点。この剪定によって一年の収穫が左右されると言っても過言ではありません。「どの枝を切り、どの枝を残して伸ばすか、長年の経験と知恵を総動員する」と成田さん。夏の間、なるべく太陽をいっぱい浴びられるように枝と枝の間の空間を広げ、実なりが良くなるような枝を選びます。まっすぐ天に向かって伸びた枝は切り落として、横に伸びそうな枝を選ぶのが基本ルールだとか。もう一つ大事なのが「農業人としてのセンス!」。それはもう、言葉では表現できなくて「やっぱりセンスだとしか 言えない(笑)」のだそうです。