TCFD提言への取り組みTCFD提言への取り組み

自然の恵みを原料とするカゴメにとって、自然環境の保全は事業の継続のために必要不可欠です。特に、気候変動への対応は優先度の高い課題として認識し、気候変動シナリオ分析を行い、その結果を基に、地球温暖化への対応や水・生物多様性の保全を重要課題として積極的に取り組んでいます。

気候関連情報開示のフレームワーク(TCFD)への対応

G20金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」より、最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」が2017年6月に公表されました。カゴメはこれに従い、2019年に気候変動シナリオ分析を実施し、事業におけるリスク・機会を明確化しており、2020年からは、「指標と目標」の見直しに着手しています。

TCFD提言に基づく4つの観点による情報開示

項目 活動内容
ガバナンス  カゴメグループは事業の最大のリスクを原料調達の途絶と考えています。地球温暖化は大型台風や暴風雨などの異常気象を発生させ、原料産地に大きな被害を及ぼします。このリスクを回避すべく、カゴメはパリ協定を率先して遂行し、温室効果ガスの排出量削減に積極的に取り組むため、18年4月の取締役会でCO2中長期削減目標を決議しました。
 代表取締役社長は、ISO14001に則ったカゴメ環境マネジメントシステムにおいて、トップマネジメントとして気候変動対応を含む当社の全ての環境活動を統括しています。社長は、環境に関する方針を掲げ、年2回のマネジメントレビューを通じて環境マネジメントシステムの有効性を評価し、その改善を指示する責任と権限を有しています。2019年度からスタートした「環境マネジメント3ヵ年計画」もマネジメントレビューの中で課題設定、モニタリング、課題の修正や追加が行われています。
戦略  気候変動の顕在化は、農作物を加工して販売する事業を行うカゴメにとって大きなリスクになるとともに、長年蓄積された技術を活用することで機会にもなり得ます。短期・中期的なリスクとしては、既に顕在化している暴風雨などの異常気象の激甚化や水不足、長期的には炭素税の上昇、消費者の行動変化、生物多様性の減少などがあります。これに対し、カゴメが過去から有している品種開発技術を用い、気候変動に適応できる野菜品種を開発・販売することや、少量の水での栽培を可能にするトマト栽培システムを世界展開することなどが機会になると考えます。
 ※次項「TCFD提言に基づくシナリオ分析の概要」参照
 過去に、豪州の大雨によるトマト生産の減収や、国内のトマト菜園が大型台風により壊滅するなど、気候変動は事業の戦略や財務に直接的で大きな影響を及ぼしています。
 上記のような気候変動のリスクや機会は、カゴメの事業そのもののリスクや機会でもあるため、その他のリスクとともに、その対応策は事業計画に組み込まれています。
リスク管理  カゴメではリスク管理の統括機関として「総合リスク対策会議」を設置しています。「総合リスク対策会議」は、代表取締役社長を議長として経営会議メンバーにより構成され、リスク対応方針や重要リスク対応課題について、迅速に意思決定を行うための会議です。この会議の中で、経営に及ぼすインパクトの大きさを総合的に判断し、優先度を決定しています。
 事業におけるリスク及び機会は、当社の課題やステークホルダーからの要求・期待、事業における環境側面の影響評価の結果などを総合して特定し、環境マネジメント3ヵ年計画の中で課題化し、全社で取り組んでいます。
指標と目標  カゴメは気候変動の緩和のため、以下の中長期CO2排出削減目標を掲げています。
■スコープ1・2(16年対比)
 CO2排出量を30年までに20%以上、50年までに50%以上削減
■スコープ3
 カテゴリー1のCO2排出量が多くを占めるため、21年までに主要サプライヤーのCO2排出量削減目標を把握し、22年から共同で削減に取り組むことを目指す(尚、更に地球温暖化防止の取り組みを加速するため、SBTイニシアチブ認定水準への目標の見直しを進めています。)
 カゴメでは、中長期目標を達成するために、国内工場、菜園、海外工場におけるより広範囲で長期的な視点での省エネ施策(製法見直し、高効率設備への更新 他)、及び再生可能エネルギー利用(太陽光、バイオマス、再エネ証書活用 等)によるCO2削減計画を策定し、取り組みを進めています。

TCFD提言に基づくシナリオ分析の概要

 カゴメは、TCFDの提言に従い、2019年に気候変動シナリオ分析を実施しました。分析はカゴメで最も大きく気候変動の影響を受けると思われる調達と生産分野を中心に、2℃及び4℃の気温上昇時の世界を想定し、リスク・機会の抽出と対応策を検討しました。その結果、2℃上昇時は炭素税の導入による原料、容器包材等の価格高騰が事業への大きなインパクトとなり、4℃上昇時は水価格の高騰や暴風雨など異常気象の激甚化が事業に大きく影響を及ぼすことがわかりました。今後は範囲を拡大し、気候変動による購買行動の変化など商品に関する影響も考慮に入れて分析を進める予定です。

カゴメグループのリスクと事業インパクト

リスク項目 事業インパクト
分類 大分類 小分類 指標 考察(例) 評価
移行リスク 政策/規制 炭素税の上昇 支出 炭素税の導入により、原料、容器・包材へ幅広く影響しコストが上昇
各国のCO2排出量
削減の政策強化
支出・
資産
省エネ政策が強化され、製造設備の高効率機への更新が必要
評判 消費者の行動変化 収益 気候変動により環境負荷を考慮した購買行動が拡大
投資家の評判変化 資本 気候変動への対策が不十分な場合、投資家の評判悪化、資金調達が困難となる
物理的リスク 慢性 平均気温の上昇 支出・収益 作物の品質劣化や収量低下が発生
降水・気象パターンの変化 支出・収益 降水量の増加や干ばつは作物産地に悪影響を及ぼし、原料価格が高騰
生物多様性の減少 支出 昆虫の減少により植物の受粉が困難となり、調達不能な原料が発生
害虫発生による生産量の減少 支出・収益 病害虫の拡大により作物の生産量や品質が低下し、安定調達が困難
農業従事者の生産性の低下 支出・収益 気温上昇により農業従事者の労働生産性が低下し、調達コストが上昇
急性 水ストレスによる生産量の減少 支出・収益 水不足により水の確保が困難となり、価格が高騰
異常気象の激甚化 支出・収益 暴風雨などの異常気象の頻発で、被害を受ける産地が多発

カゴメグループのリスク対応策及び機会

リスク項目 リスク対応策 機会
炭素価格上昇 ●カゴメグループでの省エネ・創エネ・買いエネによる50年CO2排出量50%削減目標の達成
●サプライヤーとの協働でのCO2削減
●各商品の価格転嫁策の策定と実働
●自社のCO2削減目標の引き上げ(排出量50%→0%)
消費者の行動変化 ●消費者の購買行動の把握と的確な営業活動
●環境配慮商品や認証品の積極的な開発
●異常気象時のニーズを捉えた商品開発と販売
平均気温上昇 ●データ活用等のスマート農業での気候変動対応 ●気候変動に対応できる野菜品種販売の世界展開
降水・気象パターンの変化 ●気候変動に対応できる野菜品種の獲得(高温耐性、病虫害耐性)
生物多様性の減少 ●生きものと共生する農業の提案と普及 ●菜園でハチを使用しないトマト栽培の促進
水ストレスによる生産量減少 ●工場での水のリサイクルや節水取り組み推進(膜処理等)
●最小の水で生産できるトマト栽培システムの開発と利用
●資源循環型農業の推進(工場排水・雨水の農地利用)
●最小の水で生産できるトマト栽培システムの世界展開
異常気象の激甚化 ●調達戦略の高度化(産地見直し、分散)
●暴風雨時でも栽培可能なしくみづくり
●BCP対策の高度化(気候変動を想定)
●コトビジネスへの転換(原価変動に左右されないサービス事業へ)