ギネス世界記録に登録されたカロリーの低さ
「きゅうりは栄養がない」といわれる理由のひとつが、ある世界記録。きゅうりは『Least calorific fruit』としてギネス世界記録に登録されています。日本語に直訳すると、「最も熱量が低い(ローカロリーな)果実」。これがいつの間にか「世界でいちばん栄養が少ない野菜」と誤解され、広まったようです。
きゅうりは可食部100gあたり14キロカロリーと、確かにカロリーは低いのですが、低カロリーだからといって栄養素が少ないとは限りません。また、『fruit』とある通り、果実(植物学上、果菜は果実に含まれる)として比較したもので、野菜の記録ではないのです。こういった分類や直訳のとらえ方が、誤った解釈につながっているのでしょう。
きゅうりが野菜の中で最も低カロリーというわけではありません。
きゅうりにはどんな栄養素が含まれる?
きゅうりは95%以上が水分ですから、栄養価が低いように感じられるのかもしれません。ここで、きゅうりに含まれる栄養素について詳しく見てみましょう。
野菜によって一度に食べる量に差はありますが、こうして見ると、必ずしも「栄養が少ない」わけではないことがわかります。きゅうりの漬けものの定番としてなじみ深い「ぬか漬け」などにすれば、ぬかに含まれる栄養素も加わり、カリウムやビタミンB1がアップします。
サラダだけじゃない!世界のきゅうり料理を楽しもう
日本では一般的に、サラダ・酢のもの・漬けものといった生食が好まれますが、世界では、さまざまな料理にきゅうりが使われています。
例えば、スペインの冷製スープ「ガスパチョ」は、トマトをたっぷりと使ったものが有名ですが、同国のグラナダ地方では、きゅうりを主材料に、ヨーグルトを加えたさっぱり仕立てのものが親しまれています。また、ブルガリアには、刻んだきゅうりとヨーグルトでつくる伝統料理「タラトール」(写真)や、クリーム分の濃いヨーグルトとクルミなどを合わせたサラダで、白雪姫を意味する「スネジャンカ」もあります。
日本国内でも、きゅうりの名産地では多様な味わい方があるよう。国内出荷量第1位の宮崎県では、「冷や汁」が親しまれています。魚のすり身に味噌やごまを混ぜて湯でのばし、輪切りにしたきゅうりと薬味を加えたもの。熱いご飯にかけて食べる、夏の暑さを乗り切る郷土料理です。また、加熱調理として、せん切りにして豚バラ肉と炒めて味わうのも美味だとか。
最後に
きゅうりはスーパーで通年で手に入り、みずみずしくシャキッとした食感や、独特な風味は、日々の食卓のアクセントとして欠かせません。ぜひ、さまざまな地域の料理にチャレンジして、新しい味わい方を楽しんではいかがでしょうか。