元禄8年(1696年)、漢方医が都から苗木を持ち帰り育てたのが始まり、という言い伝えが残る臼杵市乙見地区には、その元祖木が残っています(原木は昭和63年に枯れてしまい、現在あるのは2代目)。かぼす栽培ひとすじ25年のベテラン、峯さんの畑は、その元祖木のすぐ近く。山の斜面を切り拓いた園地に、青々としたかぼすが枝を広げています。小さい頃には、お母さんがかぼすを搾って砂糖を入れてくれた飲み物がたまらなく美味しかったと、懐かしそうな笑顔の峯さん。「風邪のひき始めなんかにも飲みよるし、みそ汁にも入れるんよ。刺身、焼き魚…何にでもかぼす使っちょるなぁ」。今は、仕事の後の一杯に「かぼすをちょっと搾ってクイーッとやる」のが、活力の源だそうです。
かぼすは、ユズなどと同じ香酸柑橘(こうさんかんきつ)の一種。江戸期・藩政時代は、他藩には門外不出の貴重な植物だったとか。このためか、長い間、九州以外の地域では、あまり知られていませんでした。昭和45年(1970年)頃から、減反政策に伴って栽培が奨励され、現在では大分県の特産品として、臼杵や竹田地方を中心に広く栽培されています。
かぼすは、葉っぱ15枚にひとつの果実を実らせるのが目安。熟すまでは葉っぱが重要な役割を担っています。「実が育ってる間は、ほどほどの木漏れ陽が当るくらいの方がええんよ。一日中陽が当たると、木がこたえるな。葉っぱが黄ばむし、実も日焼けするけん」。植えて30~40年ぐらいの木が一番の「働き盛り」。畑を維持するために、10年ぐらいで、ひと畝ずつ植え替えを繰り返します。また、花付きを良くするためには、思い切って古い枝を剪定する勇気も大事なのだそう。「花はようけ付いても、自然に落花しよる。自分に負担をかけんように。自分のこと、よう知っとるんやな」。
「かぼすは鮮やかな緑色の果実が喜ばれる。そのために、夏の間炎天下で葉をもぎとらないといかんの。これが大変なんさ!」。かぼすの収穫は8月の盆明けから9月いっぱいが最盛期。収穫間近になったかぼすの葉っぱもぎは、十分に果実が育った頃合いを見計らって、色づきを良くするために行う作業です。熟すにつれて、分厚かったかぼすの皮が薄くなり、果汁をいっぱい蓄え始めまたら収穫。9月下旬になり、果実が熟しすぎると黄ばんでくるので、収穫は時間との競争。例年、9月20日頃が勝負時!だそうです。
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