ラ・フランス農家 山形県・佐藤さん

洋梨の女王「ラ・フランス」。華麗なる大変身!洋梨の女王「ラ・フランス」。華麗なる大変身!
熟したときの華やかな香りと、とろりとした食感が人気の洋梨「ラ・フランス」。夏スキーで有名な月山を仰ぐ、山形・天童地方が一大産地です。 この地で栽培が始まったころは、「みだぐなす(し)=見かけの悪い梨」という方言で呼ばれていたのですが、収穫後の保存・熟成方法が工夫され、今では誰もが知る、そのおいしさ! 洋梨の女王!になりました。
生まれ故郷のフランスでは絶滅した品種!?
生まれ故郷のフランスでは絶滅した品種!?
1864年「フランスを代表するおいしさ!」という意味で「ラ・フランス」と名づけられた洋梨ですが、生育時間が長く栽培や管理の手間がかかるため、故郷のフランスでは、一時、絶滅の危機に瀕したとか。 1991年にJAてんどうから、フランス国立農業研究所に、苗木100本を贈って、お里帰りを果たした、というエピソードも残っています。今では山形県を代表するフルーツとなった「ラ・フランス」。 さくらんぼと並んで一年の収入を左右するフルーツですから、生産者の皆さんも力が入ります。ラ・フランスの栽培には、自然な果樹の姿で育てる立木仕立てと、園地の中空に針金を張り、それに枝を添わせて育てる平棚仕立てのふたつの方法があります。 平棚仕立ては、立木仕立てと比べて収穫出来る量は減ってしまいますが、均一な果実ができる、剪定などの作業がしやすい、台風にも比較的強い、などが特長。いずれの畑も、生産者の皆さんの丹精こめた手入れが行き届いて、美しく、気持ちのいい園地です!
開ききらないうちに摘み取ります
果実を大きく太らせるために、2、3、4番目あたりの花を残して、他は全部摘みとる。
果実を大きく太らせるために、2、3、4番目あたりの花を残して、他は全部摘みとる。
山形で桜の花が終わるころ、「ラ・フランス」の花が咲き始めます。白い花びら、ピンク色のシベ…さすがフランス生まれのおしゃれな花ですが、そのほとんどは、果実のために摘みとられてしまいます(=摘花)。 らせん状に蕾が並んでいる花の、2、3、4番目あたりのひとつを残して摘花するのは、その辺の花がいい果実を実らせるという経験値から。広い果樹園のラ・フランスの一枝一枝から、丁寧に花を摘みとります。 花が咲き終わる10日間ぐらいの間に摘みとると同時に、摘みとった花から花粉を採りだして、受粉をサポートする準備もしなければならないので、5月はラ・フランス農家がいちばんせわしない季節。 摘花を終えた樹を見上げると、あんなにあった花が、スカスカになっちゃった!「まあ、5%を残す、って感じかね」と生産者の佐藤さん。すごい競争を勝ち抜いた末の、1個のラ・フランスなんですね!!
ラ・フランスを、もぐ、もぐ!
ラ・フランスを、もぐ、もぐ!
月山が初冠雪を迎えるころ、ラ・フランスの収穫は最盛期。一家総出、毎年手伝ってくれるベテランの助っ人さんたちの力も借りて、ひたすら、もいで、もいで…。 ちなみに、「もぐ」「もげる」は、「取る」とか「取れる」という意味の東北弁です。もともとは、もぎり取る、かな?みっちりと重たい果実、収穫籠をぶらさげた肩にズシリと圧がかかります。 「籠の重たさは、オレらが一年間頑張った証しみたいなもんさ。うれしい重さだね」と佐藤さん。
カゴいっぱいの嬉しい重み!
「ラ・フランスは、収穫したあとひと月ほど低温保存して熟成させる。熟し具合を確かめながら、ちょうどおいしくなるタイミングを見計らって出荷するんだけど、それを見極めるのも農家の仕事。 もちろん、農協に出して農協で一括管理してもらう分もあるけどね。毎年楽しみにしてくれているお客さんの顔を思い浮かべながら、おいしくなあれ、と願ってひと月面倒を見るのも、また楽しみだね」。 こんな農家さんの愛情いっぱい受けて、おいしいラ・フランスが届くんですね!
ラ・フランスのジューシーさをぜひ!