メロン農家 北海道・阪口さん

北海道を代表する夏のフルーツ「(富良野)メロン」北海道を代表する夏のフルーツ「(富良野)メロン」
メロンといえば「夕張メロン」が有名ですが、それに負けないおいしさで今ぐんぐん人気を集めているのが「富良野メロン」です。 「北海道のへそ」と呼ばれる富良野。十勝岳や大雪山系に囲まれた盆地であるため、昼夜の温度差が大きく、甘いメロンができるのです。 白い網目模様と淡いグリーンのコントラストも美しい赤肉系のメロンがさまざまな品種、ビニールハウスや露地で栽培されており、7月~9月中旬と収穫期間が長いことも、富良野メロンの特長です。
9,000株!しっかりと根っこを張らすことから始める
9,000株!しっかりと根っこを張らすことから始める
メロンづくりに最適な温度は、18℃~28℃といわれていますが、富良野ではまだ雪が残っている3月末からハウスで苗の植えつけが始まります。 3月末~4月上旬にかけてルピアレッド、ティアラ28、4月中旬~下旬ごろにR113U、5月下旬ごろR113…など、多品種のメロンを時期をずらして植えつけ、 また、ハウスと露地を使い分けることで、秋の始めまで長く収穫できるようにしています。 広~い農場で数千本のメロンを栽培する農家さんが多いなかでも、9000株ものメロンを、自分で種をまき、苗を育てることから手掛けている阪口さんは、数少ないメロン専業農家さん。 その情熱を傾けるメロンづくりは2月半ば過ぎにスタートします。「メロンは台木に苗をさして大きく育てるんだけど、俺が苗立てからやるのは、その台木も自分で選びたい、という気持ちなんだよね。 自分でいろんな品種を試して、メロンの根っこになる部分から品種を比べてみたいという、欲?(笑)」。いえいえ、それはこだわりでしょ。 「植物は何でもそうだと思うけど、やっぱり究極は丈夫な根っこだと思ってるからさ」。
成ったばかりの小さなメロン!
どの芽をのばす?
どの芽をのばす?
メロンのツルを地に這わせ、ふたつに分けて伸ばしていく2本仕立て。分かれ目から10枚目の葉っぱが出た「節」部分、そこに咲いた雌花の根元にある果実を大きく育てます。 9節までに出た芽や花はすべて掻き落として、2本伸ばしたツルの先にそれぞれ2個ずつ、合計4個のメロンを成らせるのが、富良野地方の基本的なやり方。 「苗が育ってツルが伸びて10節ぐらいになると、根の張りも十分になって、大きな実を成らせることができるんさ」と阪口さん。 10節目の実にするのか、12節目にするのかは、農家さんの決断ひとつ。その年の天候や苗の育ち具合を見て判断するのです。 10節まで育つのには約1ヵ月。その間、急激に暖かい日が続いたりすると、ツルばかりがどんどん伸びて、根の張りが追いつけない、なんてこともあるんだそうで、 そのときは、ツルが伸びていく方向、葉っぱの大きさや色・艶などを見極めながら、どの芽を伸ばすのか、どの雌花を残すのか、決めていくのです。 「1本のツルに2個のメロンを成らせる…どの芽を残して大きくするかで、その年の収入が決まっちゃうわけだからさ、やり直しがきかないしね。これでも結構、頭使うんよ(笑)」。
毎朝「おはよう!」と声をかける
毎朝「おはよう!」と声をかける
実をつけたら、その先は25節目ぐらいで芯を止めてしまい、果実の成長を促します。メロンは雄花と雌花をつける雌雄同体の植物ですが、雌花の花粉だけでも受粉するので、 雄花はすべて掻き落としてしまうのだとか。雌花の受粉を助けてくれるのがミツバチたちです。雄花は湿気が多いと病気になりやすいので、雄花を掻いてしまうのは、 その予防の意味もあるのだそうです。「俺さ、前に聞いたことあるんだけど、植物にとって人間は自分を切ったり曲げたりして、いじめる存在だからストレスに感じてる、という話でさ。 それからは俺、毎朝、メロンの畑に入るときは『おはよう!』っていうようにしてる。『ご機嫌どう?』みたいなさ(笑)。それからラジオでモーツァルトとか、音楽聞かせる。 ついでに11時から始まる人生相談とかも聞かせちゃうけど(笑)。 でも植物だって、人間の笑い声が聞こえてた方がご機嫌良いんじゃないかな、と思ってるから、とりあえず明るくおはよう!って声かけながら水やりしてるよ(笑)」。 なぁるほど。阪口さん家のメロンは、モーツァルトと人生相談聞いて育つのか~。どんな味がするのかしら?興味津々!!
互いに切磋琢磨しあえる存在!
競い合う仲間がいるから、こそ!
競い合う仲間がいるから、こそ!
亀渕さんは阪口さんの先輩。同じくメロン農家の2代目同士ですが、「中学も高校も一緒で先輩でしょ、まったく頭が上がらない」阪口さん。 でも、「テル」「カメさん」と呼び合い、亀渕さんのアドバイスを受けながらも競い合う、仲良しライバル同士でもあるのです。 亀渕さんはメロンのほかにトウモロコシやタマネギもつくっていますが、メロンはちょっとおバカでカワイイ存在なのだとか。 「ツルで伸びる植物ってさ、たぶん対応力が高いというか、どんな土でもある程度成るんだよね。 もちろん土づくりは大事で、それぞれこだわりの肥料のやり方があるけど、あんまり肥えた土じゃないほうがいいんだ」 「メタボの畑はだめ」「カメさんはメロンのハウスでトウキビを育てて、収穫後にそのまますきこんだりしてるんだよね」。 「毎年メロンばかりやってると、どうしても病気が出たりするしね。トウキビの殻はいいんだよね、栄養もあるし、土を軟らかくしてくれる。 早生のメロン終わって8月末にトウキビをまくと冬に収穫できるし。二毛作(笑)」。今年はメロン30トンを収穫したよ、へえ~そりゃすごい!といい合いながら、 来年は負けないぞ~と思ってる。気心の知れた仲間がいるからこそ、のメロンづくりなんですね!
濃厚なメロンの味を感じてください!