シークヮーサー農家 沖縄県・小橋川さん

風が心地よい園地で、おおらかに育てる小さな青いみかん風が心地よい園地で、おおらかに育てる小さな青いみかん
沖縄・やんばるの森の片隅でシークヮーサーを栽培している小橋川さんの園地は、みずみずしい生命の気にあふれています。植物の気持ちを理解し、上手に育てる人のことを「グリーンハンズ」と呼んだりしますが、小橋川さんはまさに「グリーンハンズ」の1人です!
シークヮーサーの100年木から、元気のパワーをもらって!
沖縄本島北部。豊かな森が広がる「やんばる(山原)」に自生していた小さなみかん。それが「シークヮーサー」。じつは、「タチバナ(橘)」と並んで、数少ない日本独自のフルーツのひとつだってこと、ご存知でした?
「親父がこの畑にシークヮーサーを植えたのは、僕が小学生の頃だから、もう50年以上。おじい(祖父)の代から自生していたものは樹齢100年以上かな!」と語ってくれたのは、生産者の小橋川さん。
周囲をゴツゴツとした岩肌の山に囲まれた大きなすり鉢状の地形「ドリーネ」を利用して整備された園地は、亜熱帯のグリーンガーデンのように魅力的!小橋川家3代の丹精の賜物です!「畑には、両親が農作業する姿や、兄弟で転げまわって遊んだ思い出がいっぱいつまってる。シークヮーサーは一緒に大きく育ってきた幼なじみのようなものさぁ。この畑に来るとシークヮーサーから元気のパワーをもらえる感じで、気持ちが清々しくなるねえ」。 
自然まかせ!で育つ、おおらかで、おいしいシークヮーサー!
大宜味村はシークヮーサーの自生地だけに、栽培は比較的楽なエリア。このため、小橋川さんの栽培方法はほとんど「自然まかせ」だそう。水やりも雨次第。雨は結構多いけれど、石灰岩質の土地だから水はけがいいのだとか。
「剪定には気を遣うけど、こだわりと言えば除草剤を使わないことぐらいかな。その分草刈りは大変だよ。春から梅雨時までは草との競争さぁ。でも、下草があるから、自然に水分が保たれているのかもしれない、とも思うんだよね」。
柑橘類は、隔年で収穫量が大きく変化する「表年と裏年」という特徴があります。果実が黄色く熟すのを待って収穫すると、木が疲弊して、翌年の花づきが悪くなり、収穫量が落ちる(裏年)のです。シークヮーサーも黄色くなるまで熟せば酸味が消えて、そのまま食べられますが、独特の香りが愛されているので、香りも酸味も強い青い果実のうちに収穫します。このため、木が疲弊することなく、表・裏年の差が少なく、安定した収穫量が得られるのです。
放っておけば大樹に育つので、剪定がカギ!
沖縄と言えば台風。近年、台風が巨大化して被害も深刻化しているそうで「直撃されませんように…と、心で祈るしかないけど(笑)」と小橋川さん。
シークヮーサーは比較的風に強い性質があり、高木になるので、防風林がわりに屋敷囲いにしている家も多いそうです。ちなみに自生しているシークヮーサーは、人の背の3~4倍ほどにもなります。収穫には高梯子が必要になり、危険を伴う作業になるので、剪定で枝を短く刈り込んで調整しているそうです。
どんな果実でも、剪定は生産者の腕の見せどころ。不要な枝を見極め、丈夫な枝を伸ばすことで、樹勢や果実の収穫量に大きな差が出るからです。熟練した生産者の畑は一目でわかります。それは美しいこと。そして小橋川さんの畑はとびきり美しい!      
白花が散ると雪が降り積もったように!
3月、ちいさなスズランのようなつぼみが開くと、グリーンノートの香りが園地全体に漂います。「白い花びらが散ると、雪が降り積もったようになる。それはきれいだよ。花の咲き具合で豊作かどうかがわかるし、今年も1年がんばろう!と思えるし…」と小橋川さん。
「この花の美しさも、香りも、本当は全部届けたいんですけどね。来年は、ぜひ、一緒にお花見しましょね!」そう言ってくれた小橋川さん、とってもやさしい笑顔でした!       
沖縄の旬の味覚をご賞味ください!