企業価値向上へ向けた取り組み

当社は、企業理念(「感謝」「自然」「開かれた企業」)のもと、事業を通じて社会価値と経済価値を創出することにより企業価値を最大化していきます。また、中長期において「ROEの向上」と「資本コストの低減」に重点的に取り組むことで、持続的な企業価値向上を目指していきます。

ROEの向上

当社は、企業価値向上の最重点指標にROEを掲げています。
収益力の向上、財務健全性と資本効率性の両立を柱として、第3次中期経営計画期間の最終年度である2025年度はROE9%以上の達成を目標としています。今後もROEを高め、安定的な株主還元を行うことで企業価値を向上していきます。

効率的な成長投資の実行と株主還元

設備や事業への投資においては、経営企画、法務、財務経理などの専門部署のメンバーから構成される投資委員会により、各部署から起案された投資について採算性やリスク評価を踏まえた審査を経た上で、経営会議及び取締役会で決定します。投資後も、同委員会が継続的にモニタリングを実施し、効果を確認します。
第3次中期経営計画においては、オーガニック成長向けに約400億円の投資計画を予定しています。中長期の成長に向けて、Ingomar含め国際事業へ積極的に設備投資を行っていきます。また、M&Aを含めたインオーガニック成長のための事業投資300~500億円についても計画通り進捗しています。引き続き、オーガニック、インオーガニック両面で、成長に向けた投資を実行していきます。また、株主の皆様への利益還元を、経営上の最重要課題の一つと認識し、2022年から2025年の4ヶ年で進めている中期経営計画期間中における株主還元方針として、総還元性向40%を掲げています。
本方針に基づき、株主還元のさらなる充実と、資本効率の向上を目指し、配当と併せて自己株式の取得も行っています。今後も成長投資と株主還元を両立し、持続的成長を目指していきます。

売上総利益率の維持・向上の取り組み

当社は、持続的に収益力の向上を実現する上で、売上の拡大に加えて、売上総利益率の維持・向上に取り組んでいます。
具体的には、各事業の特性に応じて、原材料費の削減や労働生産性の向上、製造ラインの自動化など、生産現場における恒常的な原価低減のほか、コスト上昇時の機動的な価格改定により売上総利益率を維持・向上しています。
また、「畑は第一の工場」としてものづくりを営む当社グループにとって、中長期的にも安定した売上総利益率を確保する事業構造に変革していくために、高品質の農産原材料の調達ネットワークの拡大や、水不足や気候変動に適応した品種開発、栽培技術の確立など、グローバルバリューチェーン全体のコスト構造を変革する取り組みを進めています。

全社ROIC管理による資本効率の向上

当社は、利益を獲得するだけではなく、投下した資本の適切性や効率性を測定するため、2021年度よりカゴメROIC※による管理を導入しています。カゴメROICは、獲得したEBITDAに対して投下した資本の効率性を測定し、貸借対照表項目を各要素に分解することで、改善すべき課題を明確にすることを目的としています。

※ カゴメROIC :EBITDA( 事業利益+減価償却費)÷投下資本

2024年度のカゴメROICは、EBITDAマージンは0.4point改善したものの、投下資本の増加により、前年度から0.8point悪化し、12.4%となりました。2025年度はEBITDAの減少により0.9point悪化し、11.5%を見込んでいます。各事業の状況は以下の通りです。
・国内加工食品事業:原材料の価格高騰や物流費増加によるEBITDAの減少により1.8point悪化
・国際事業:トマトペースト市況の下降影響による減収によるEBITDAの減少により1.7point悪化

(ROICツリー展開)
当社においては、ROICツリーを資本効率向上のためのコントロールドライバーとして活用しています。ROICツリーの展開により、ROICからブレイクダウンしたBS指標を各部門のKPIに落とし込むことで、これに基づくアクションプランを各社・各部門にて設定し、自律的にPDCAを回すことで指標の改善を図っています。その上で、各社・各部門にて効率を意識した改善活動を行い、最適なサプライチェーン体制の構築をはじめとした取り組みを進めています。

自己資本比率・信用格付の維持

自己資本比率

当社は財務基盤の安定を前提に、ROEの向上を進めます。
自己資本比率50%以上を維持するとともに信用格付においてシングルA以上を目指します。

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