CFO/CROメッセージ


Q1 日本株式市場全体が上昇傾向にある一方で、当社の株価は低迷しています。
前中期経営計画の取り組みが十分な評価につながらなかった要因分析と、Kagome Group Plan 2028へ向けた改善ポイントを教えてください。

日本株式市場全体が堅調な中で、当社株価が低迷している現状を極めて重く受け止めています。これは、資本コストを上回る価値を十分に創出できていないという市場からの評価であり、早急に改善すべき最重要課題と認識しています。
成長ドライバーと位置付けた国際事業(トマト他二次加工)において、想定していた成長に届かなかったこと、またトマトペースト市況の低迷に伴い、Ingomarの利益が伸び悩んだこと。この2つが前中期経営計画(以下、前中計)で掲げたROE※1 9%を達成できなかった要因です。
Kagome Group Plan 2028(以下、Plan 2028)では、ROIC※2経営とポートフォリオマネジメントをより進化させ、従来の延長線上にとどまらない経営改革に取り組みます。

※1 ROE: 自己資本利益率のこと。資金(自己資本または純資産)を有効活用し、それによってどれだけ収益を上げているかを表す指標
※2 ROIC:カゴメROICのこと。EBITDA÷投下資本で算出

Q2 前中計で未達となったROE9%以上の目標を、Plan 2028でも据え置いています。
この水準は、当社が認識する資本コストに対して十分なスプレッドを確保できるものなのでしょうか。
また、ROIC経営の深化に向けて、事業ポートフォリオマネジメントをどのように加速させるか、ROE目標達成に向けた具体的な道筋と決意をお聞かせください。

当社の現在の株主資本コスト※5は約5~6%と認識しています。したがって、Plan 2028で掲げるROE9%は、最低限達成すべき水準であり通過点にすぎません。将来的にはさらなる改善を目指します。
ROE向上のためにはROIC経営をより前進させることが必要です。前中計期間中はROICの可視化に取り組みました。本中計では、売上収益利益率の向上と総資産回転率の向上の両面から改善を推進します。
もう1つは、ポートフォリオマネジメント※6です。取締役会の監督・意思決定体制をより明確にし、最適な仕組みを構築していきます。

※6 ポートフォリオマネジメント:複数の事業やプロジェクト、資産等を適切に管理し、リスクとリターンの最適化や企業価値の向上を図るマネジメント手法

Q3 Plan 2028における財務方針は「『資本コストを意識した経営の実践』と、『成長投資と株主還元の両立』」を掲げています。
持続的成長に向けたキャッシュ・アロケーションの優先順位と、M&A等のインオーガニック戦略を含む投資の方向性を教えてください。

持続的な企業価値向上のためには、安定的な営業キャッシュ・フローの創出が前提となります。営業キャッシュ・フローは、株主還元と既存事業の成長・維持投資の源泉とします。
株主還元については、Plan 2028期間で総還元性向※7 50%以上を目標とします。また、配当水準も引き上げ、株主の皆様との信頼関係をより強固なものにします。
成長・維持投資の対象は、国際事業における北米・ヨーロッパ拠点の生産性の向上やインドにおける垂直統合型トマト事業の確立、国内加工食品事業における国産トマト拠点の整備や飲料容器バリエーション拡充など収益基盤の強化と、農と食のウェルビーイング事業など新規価値領域への挑戦です。
その他、戦略投資枠として500億円を計画しています。これはインオーガニック成長のためのM&Aなどへの投資であり、主に借り入れによる資金調達を予定しています。

※7 総還元性向: 企業が得た当期利益に対し、配当金と自社株買いの合計額が占める割合を示す指標。(配当金+自社株買い)/当期利益で求めることができる

Q4 企業価値最大化には、財務健全性を維持しつつ、資本効率を高めるバランスが重要です。
最適資本構成の観点から、現状の財務レバレッジや自己資本比率※8をどのように評価していますか。

当社の財務基盤は健全だと評価していますが、成長を促進するためには、資本効率を高める必要があると認識しています。
Plan 2028では、信用格付の維持を前提とし、D/Eレシオ0.6程度を視野に入れ、成長投資に必要な負債を積極的に活用していきます。
バランスシートのスリム化にも取り組みます。具体的には、適正在庫水準の徹底した見極め、稼働率の低い資産や遊休資産の売却、政策保有株式の縮減などを継続して進めていきます。

※8 自己資本比率:親会社所有者帰属持分比率

Q5 株主還元方針について、Plan 2028では大きく変化しています。どのようにお考えですか。

前中計期間の総還元性向は41.3%と、目標の40%を上回る水準を実現しました。また、2025年度は1株当たり配当金を48円としました。
Plan 2028では、資本市場とより誠実に向き合う姿勢を明確にするため、総還元性向目標を10ポイント引き上げ50%とします。さらに、2026年度の配当金額は58円とし、累進配当とします。

Q6 当社の成長戦略や独自の強みが資本市場に十分に浸透しておらず、情報の非対称性が存在することが、株価低迷の一因とも考えられます。
「開かれた企業」を企業理念の1つとするカゴメとして、このギャップを埋めるために、IR・SR活動や非財務情報を含む情報開示をどのように強化・改善していく方針でしょうか。

当社の成長戦略や強みを資本市場に十分浸透させられていない点は真摯に受け止めています。情報の非対称性を解消することはCFOとしての重要な責務です。
特に、急速に成長した国際事業については、開示情報の充実や現地視察の受け入れなどを通じて理解促進に努めます。
投資家との対話は、当社の現在地を映す鏡です。対話を通じて事業の方向性を磨き上げ、確実に実行していくことが私たちの使命だと考えています。このことは「開かれた企業」という理念をこれまで以上に体現していくことにほかなりません。

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