気候変動や人口問題などグローバルでの食の課題解決が求められる中、カゴメが果たせる役割はますます大きくなっています。カゴメは何で貢献すべきか、どうやってそれを実現していくか、それがまさに2035ビジョンとして結実したと感じます。カゴメの存在意義と役割を「ミッション・ビジョン・バリューズ(MVV)」という形で再確認したプロセスは、大変有意義でした。
「農から食にわたる技術革新をリードし、自然の可能性を共に拓く会社へ」というビジョンには、技術開発やイノベーションをカゴメの強みとして自然の可能性を拓いていきたいという強い意志を感じます。ビジョンの実現に向けては、成長戦略に沿った、取るべきリスクなど、リスクの考え方を一定の枠組みとして整理し、取締役会における議論をさらに深められればと考えています。リスクは時代と状況により変化するため、枠組みそれ自体も定期的に見直す必要があります。
2026年からは、山口会長、奥谷社長の新体制がスタートします。カゴメでは社外取締役が大半を占める報酬・指名諮問委員会でサクセッションプランに基づき新体制のあり方を検討しましたが、2035ビジョンを牽引できる体制ということが大きな判断要素であったことは言うまでもありません。奥谷社長のリーダーシップのもとに、2035ビジョンの実現に向けてカゴメが大きく成長することを後押ししていきたいと思っています。
取締役会では、経営目標を達成する上で重要な施策・投資、人材戦略、リスクマネジメントなど多岐にわたるテーマをオープンに議論できていると思います。今後は、従来の内容に加え2035ビジョンをゴールとして、それを実現する上での現在のカゴメとのギャップ(足りていない)領域によりフォーカスして議論を行い、執行側をサポートできればと考えています。
国際事業では、ここ数年成長を牽引した一次加工におけるトマト市況変動によるボラティリティ低減のためにも二次加工事業の早期拡大が欠かせませんが、そのための営業活動やそれを支える人的リソース拡充は喫緊の課題です。国内事業では、国産野菜の品質及び機能価値訴求による収益性改善に加え、ウェルビーイング領域での野菜収穫や調理体験など社会的健康実現の機会を通じカゴメファン拡大を目指しますが、全てを自社で完結するのではなく、自治体や他企業との協業による事業化検討も必要です。
2025年、投資家の方々とお話しする機会をいただきました。カゴメが目指す農から食への事業や取り組みをご理解いただくと同時に、取り組みの進捗可視化など株主を意識した経営までのリクエストもいただきました。取締役会では、難易度や事業化までの時間差など多岐にわたる事業ポートフォリオのガバナンスと、それを支える人材戦略、開かれた企業としての情報開示などの議論を通じて、企業価値向上に取り組んでいきます。
カゴメグループにおいて国際事業の存在感が高まり、その成長が2035ビジョン達成に向けた重要な柱となる中、グループ全体の事業成長を促進しつつ、リスクを適切に管理し業務の適正性を確保していくために、グローバルガバナンスの向上が不可欠です。ここ数年、財務経理と内部監査による子会社管理・統制の高度化と、リスクマネジメント体制の強化を通じて、海外拠点を含むグループ全体にわたるリスクの特定と経営戦略に照らした分析・評価が進展しています。また、国際事業に関する意思決定は、カンパニーへの権限委譲により迅速性が確保されつつ、重要案件については取締役会への十分な情報提供に基づく多角的な検討を経て行われています。一方、国内外で培った経験を活かした新たな価値創造を目指す人材の活用や、グローバル経営人材の育成推進といった人材戦略は、今後の成長の要として深化を急ぐべき課題です。
カゴメグループの新しいMVVは、多様な文化的背景を持つ海外拠点のメンバーにも伝わりやすいよう策定されました。この新たな理念がグループ全体に浸透することが、カゴメにおけるグローバルガバナンスのさらなる向上への出発点になると期待しています。取締役会においてもMVVに照らしつつ、グローバルガバナンスの向上に資する組織・制度・プロセスの構築に向けて議論を継続していきます。
カゴメは、新たな中期経営計画において、2035ビジョンの実現に向けて、「農から食にわたる技術革新をリードし、自然の可能性を共に拓く会社」を目指しています。この取り組みを実現するための具体的な経営として、原材料のサプライチェーンやトマト二次加工品の販売バリューチェーンの多様化等を推進しており、国際事業の比重が拡大しています。
一方で、地球環境の変化や多極化する世界という外部環境を背景に、カゴメを取り巻くグローバルな事業環境はますます複雑化しています。この状況への対応にあたっては、オーガニックな事業成長はもちろん、インオーガニックな事業成長の手段(資本提携やM&A等)を採る場合には特に、重要な経営資源であるブランドイメージや良好な人的資本の質の維持発展に十分留意しつつ進めるべきことは言うまでもありません。また、インオーガニックな事業成長プロセスは多様性のある人的資本の進化のチャンスでもあります。
経営上の取り組みが、複雑化する事業環境下においても、株主、従業員ほか多様なステークホルダーの視点から持続的な成長及び企業価値の向上を見通せるような経営に結実していくよう、グローバルビジネスに対する私の様々な業務経験を活かしつつ、新任社外取締役としてその実現に日々貢献していきます。