決算説明会(個人株主のみなさま向け)

個人株主のみなさま向け

2022年12月期中間決算・事業説明会

当社は、より多くの株主のみなさまにカゴメをより深く知っていただくために、「対話と交流の会」を実施しています。「個人株主のみなさま向け決算説明会」は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点に加え、どのエリアの株主さまにもご参加いただけるように引き続きオンラインで開催いたしました。
今回の説明会では、カゴメが注力する事業についてより深く知りたいというご要望にお応えして、事業説明の時間を設けました。本年6月に発表したAIを活用した営農支援事業について、ポルトガルに設立した合弁会社CEOの中田健吾から説明いたしました。

決算説明会の流れと参加株主さまのご意見・ご感想

ご参加いただいた株主さまのご意見・ご感想とともに当日の模様をご紹介いたします。

① 社長ビデオメッセージ

代表取締役社長の山口聡よりビデオメッセージにてごあいさついたしました。

② 決算説明

財務経理部 伊藤直貴より2022年度中間決算をご説明いたしました。

③ 事業説明

今年6月にポルトガルでの設立を発表した、AI を活用して加工用トマトの営農支援を行うカゴメと
NECの合弁会社「ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー」の詳しい内容について
CEOの中田健吾よりご説明いたしました。

④ 質疑応答

事前にお寄せいただいたご質問、および当日チャットでお寄せいただいたご質問に、
執行役員 CFO 兼 CRO 佐伯健、ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー CEO 中田健吾、
財務経理部長 冨森芳信、経営企画室経営企画グループ課長 郡真一郎、
財務経理部IRグループ課長 武田周子からご回答いたしました。

事前にいただいたご質問と回答(抜粋)

Q.国際情勢が逼迫しているが、原材料確保は問題ないか。事業の継続のための取り組みは。
A.ウクライナ情勢により世界経済は大きな影響を受けています。
カゴメの属する食品業界について申しますと、この影響というのは単に値段が上がるだけではなく、必要量を確保できるのかという影響をも含んでいます。当社は、以前から世界中に原材料の調達先を分散させています。現在その拠点数は約150に上ります。このうちトマトに関して、もう少し詳しくご説明いたします。
トマトは、当社が国内で販売している飲料やソース、ケチャップなど加工食品事業の主力原材料となります。そして、このトマトは90%以上を海外から輸入しています。もちろん、国内の調達比率を高めていきたいと考えておりますが、現時点では圧倒的にその収量 が足りないこと、加えて価格が高いことなどによりこのような比率になっています。では、このトマトをどこから輸入しているのか、大きく分けると北半球と南半球になります。北半球はアメリカやイタリア、スペイン、子会社のあるポルトガルなど欧州の各地域、加えてトルコなどとなります。南半球は、これも子会社があるオーストラリア、また南米のチリなどになります。トマトは農産品です。それぞれの地域では、水不足や病害虫など、様々なリスクにより、見込んだ収量を確保できないことがあります。調達拠点を分散することによって、こうしたリスクを低減し、常に安定的な調達ができるようにしています。
国際情勢により緊張は続いておりますが、現在のところ原材料の確保については、大きな問題はございません。

Q.新たな成長の柱として、新しく挑戦していることはありますか
A.カゴメは2016年に、その10年後である2025年のありたい姿として「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる企業」を掲げました。
それに向けまして、現在10年3期で最後の中期経営計画に取り組んでいるところです。この中期経営計画で次の成長の柱として育成する領域について、主なものを2つご説明いたします。
1つ目は、プラントベースフードと言われる植物性食品です。日本でも植物性食品を取り入れたライフスタイルを送られる方が増えています。カゴメは野菜や豆類、これらを使った植物性食品をメニューとして、おいしく食べられるカレーやパスタソース、こういった商品を販売しています。また、業務提携をしておりますTWO社と協業で、ほぼ卵としか思えないけれども、全て植物性でできているオムライスを提供しています。飲料では、「畑うまれのやさしいミルク」を発売いたしました。
2つ目は、海外、特にアメリカでの成長です。こちらはまだ公表できる段階にはありませんが、現在社内に米国成長戦略プロジェクト室という組織を設置し、事業探索を行っております。

当日いただいたご質問と回答(抜粋)

Q.円安が進行し、国際事業は為替の好影響があったとの説明があったが、国内事業への影響を教えてください
A.当社国内事業の原材料の9割以上は、海外から輸入しております。そのため、円安が進むと原材料コストが上昇し、利益に悪影響を及ぼします。こうした為替変動を抑えるために、当社では原料輸入高の一部について、為替予約を行っています。そうすることで、急激な円安による業績への影響を緩和し、経営を安定的に行えるようにしております。

Q.ポルトガルでの事業について、新会社を設立して本格的に事業を加速していくメリットを教えてください
A.グローバル加工用トマトの外部環境としては、やはりその農業の現場において、世界的に環境規制が強まっていて、これまで通りの農業のやり方が通用しなくなってきているということと、日本でもそうですが異常気象が頻発して、これまで安定的にトマトが作れていた産地も、安定性がこの先なくなってくる可能性があるということです。そういった変化に対して、私たちが新しい会社で取り組む課題解決というものは、農業の現場における課題を複合的なサービスで、解決していくということなのですが、このようなことをやっている会社は、少なくとも加工用トマトにおいては、まだ存在していません。従いまして、DXASではそれを先んじて、アグロノミーとテクノロジーの融合で解決策、処方箋を提供できるという風に考えており、このタイミングでDXASとして本格的に事業を開始することといたしました。

Q.社員のモチベーションを上げる仕組みを教えてください
A.今、全社で注力しているのは、従業員1人1人が働きがいをいかに高められるかということについてとなります。カゴメにおいては時間や場所の制約があっても働き続けられる「働きやすさ」の制度につきましては、在宅制度ですとか、フレックスタイム制度などが整備されております。私自身も今2人の子どもを育てながら働いておりますが、働きやすさという視点では、昔に比べて非常に高まっているなというふうに実感しております。
現在では、1人1人が仕事に対して「働きがい」を感じることで、モチベーション高く、積極的に仕事に取り組めるような、環境づくりに注力をしています。事例を挙げますと、googleなどでよく事例が紹介されておりますが、心理的安全性をいかに高めるかということに、全社で取り組んでいます。例えば、役員が勉強会に参加したり、全社のダイバーシティのイベントで、心理的安全性についてのディスカッションを行ったりして、全社員が学び、心理的安全性が高いチームを作ることで、従業員1人1人が持つ力を十分に発揮して、モチベーション高く、いろいろなことに挑戦していけるような風土作りということを進めております。

Q. 4月にトマト調味料の価格改定をしましたが、需要喚起策を教えてください
A.トマトペーストや固形のトマト、また、糖類など、原材料価格が上昇しています。
こういったコスト高に対しまして、合理化、効率化には取り組んでいますが、自社努力ではこの吸収が困難と判断いたしまして、7 月 1 日にトマトケチャップをはじめとする調味料の価格改定を実施させていただきました。 引き続き、より良い商品をお届けしトマトペーストや固形のトマト、また、糖類など、原材料価格が上昇しています。
こういったコスト高に対しまして、合理化、効率化には取り組んでいますが、自社努力ではこの吸収が困難と判断いたしまして、7月1日にトマトケチャップをはじめとする調味料の価格改定を実施させていただきました。引き続き、より良い商品をお届けしていきたいと考えています。
需要の動向ですが、トマトケチャップ全体では、価格改定後もオムライス、ピザトースト、などトマトケチャップを使用するメニューの食卓に上がる頻度というのは変わっていません。当社としては、需要を高めていきたいと考えており、トマトケチャップをより便利においしく使っていただけるよう、先ほどの説明にもありましたが、ケチャップを焼いて風味や 香ばしさを増したメニュー「焼きケチャップ」をサンリオさんのキャラクターを活用させていただいてSNSやWEBで情報発信しています。
カゴメは農産物を原料としていますので、来年に使用する原材料は、この夏に収穫加工しているところです。ウクライナ情勢以降、様々な原材料コストが上昇しています。今後も引き続き、自社努力を続けてまいりますが、市場環境、経営環境を見ながら、価格設定についても検討してまいります。

Q.日本の農業を強化するために、取り組んでいることを教えてください。
A.カゴメは多くの原材料を海外から調達していますが、国内の農業をどのように振興させていくか、これは大切な課題です。日本における当社の取り組みを2つご紹介いたします。
1つ目は国内トマト農家さんへの支援です。トマトの農作業にて、最も負担が大きいのは収穫作業となります。この負荷を軽減するために、国内の農業機械メーカーさんと共同で、トマトの収穫機を開発しました。この収穫機によって、従来と比べて約60%程度、そ の負荷を削減することができています。
2つ目は、農業法人さんとの協業です。野菜の新たな調達、製造拠点の開発と地域農業の活性化を目的とした農業法人さんとの協業を進めています。2020年には、北海道で 玉ねぎの調達製造拠点を現地の農業生産法人と設立しました。この会社で使う貯蔵庫や 選別所、これらは廃校となった中学校の校舎や敷地を利用しています。地元の雇用の創出はもちろん、地域の活性化に貢献したいと考えています。
私たちは「畑は第一の工場」という言い方をしています。これは私たちにとって、農業が1丁目1番地であることの表れです。これからもより大きな貢献ができるようがんばってまいります。

参加株主さまのご感想(抜粋)

  • ・役員だけでなく現場の社員にも登壇させるのは、オンラインとはいえ勇気のいることだと思います。最後のCFOのご挨拶でも「素敵でしょうか」と問う、そんな真正面から向き合い積極的に開示していく姿勢に感銘しました。
  • ・AIを用いた営農支援について、課題意識や解決のための取り組み、その取り組みを実装する上での課題(営農者のプライドで支援案に従ってくれない等)を紹介いただき、現場での苦労や工夫を垣間見られて興味深かった。
  • ・事業説明では、これから計画しているような繊細な内容を含め説明していただき、よく理解できたとともに、目の付け所が鋭く、社会的意義が大きいと感じました。ポルトガルからの登壇もオンラインだから可能なことで、よいアイデアだと思いました。
  • ・日本の農業活性化へのサポート。日本の食糧自給率アップへの貢献をお願いしたいと思います。プラントベース食品にも大変期待しております。
  • ・丁寧な説明でわかりやすい。わざわざ中間報告をしてくれるのが、信頼できると思う。コロナ、ウクライナ戦争、値上げなど、想像もつかない世の中で、未来を考えていく姿勢が共感できた。今後も、この様な説明会は続けてほしいと思う。
  • ・企業努力をしている様子がよくわかった。商品に対する親しみと企業に対する信頼が深まった。オンラインは地方に住んでいる株主にとって参加しやすいので機会を増やしてほしい。
  • ・今後も、業績説明だけでなく、企業活動・事業活動についてそれぞれの責任者や現場のからからお話を伺いたいです。

限られた時間ではございましたが、カゴメの今をお伝えすることができました。
これからも、株主さまとの対話と交流の会を企画してまいります。
引き続き、カゴメの取り組みへのご理解ご協力をお願いいたします。

翌日、楽天証券様と共催で「投資初心者向け決算・事業説明会」をオンライン開催しました。
会社紹介、2022年度中間決算説明、AIを活用した営農支援事業紹介を動画で掲載していますので、併せて是非ご覧ください。
URL:https://www.youtube.com/watch?v=bAziAy5tEUk

IR情報