決算説明会(個人株主のみなさま向け)

個人株主のみなさま向け

決算説明会(2022年12月期決算)

当社は、より多くの株主のみなさまにカゴメをより深く知っていただくために、「対話と交流の会」を実施しています。「個人株主のみなさま向け決算説明会」は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点に加え、どのエリアの株主さまにもご参加いただけるように引き続きオンラインで開催いたしました。

決算説明会の流れと参加株主さまのご意見・ご感想

ご参加いただいた株主さまのご意見・ご感想とともに当日の模様をご紹介いたします。

① 社長ビデオメッセージ

代表取締役社長の山口聡よりビデオメッセージにてごあいさついたしました。

② 決算説明

財務経理部 IRグループ 谷口弘晃より2022年12月期決算をご説明いたしました。

③ 事業説明

株主のみなさまから多くご質問いただく、環境への取組みについて締役専務執行役員 橋本隆よりご説明いたしました。

④ 質疑応答

事前にお寄せいただいたご質問に、執行役員 CFO 兼 CRO 佐伯健、執行役員 経営企画室長 兼 米国成長戦略プロジェクト室長 奥谷 晴信からご回答いたしました。

当日いただいたご質問に、取締役専務執行役員 橋本隆、執行役員 CFO 兼 CRO 佐伯健、執行役員 経営企画室長 兼 米国成長戦略プロジェクト室長 奥谷晴信、財務経理部長 冨森芳信、財務経理部IRグループ課長 武田周子からご回答いたしました。

事前にいただいたご質問と回答(抜粋)

Q.原材料価格やエネルギー価格の上昇への対応は?価格改定により、売上低下が懸念されるが、どのように回復させるか?
A.まず、原材料価格、エネルギー価格の上昇についてです。決算のご説明でもお伝えした通り、22年度・23年度ともに原材料を中心とした価格上昇が業績に大きな影響を与えており、その対応は重要な経営課題となっております。日本の事業において、現在進めている取り組みを2つご紹介いたします。
1つ目は生産における効率改善や省エネ、ロス削減、あるいは物流の効率化などによる原 価低減活動です。地道に絶え間なく継続しているこれらの活動は、原価上昇を打ち消すだけではなく、 日々の活動を進化させる上でも重要な取り組みとなっております。
2つ目はトマトケチャップや野菜ジュースなどの原料になる野菜加工品における取引先様 との関係強化です。農産物は、天候の影響や需要供給の変動により、価格の上げ下げがあることは避けられませんが、当社は取引先様と長期的かつ安定的な関係をつくることで、農産物特有の不安定さの抑制に努めております。長期的な取引を保証することは、取引先様にとって経営の安定というメリットがあることから、相場に大きく左右されない価格設 定ができますし、安定した品質の原材料を調達できるなどの我々にとってのメリットもございます。加えて、海外のグループ会社も含めた世界各地の調達ネットワークを作り、適切に産地分散を行うことで、変化やリスクに強い構造を作る取り組みも進めています。しかしながら、今ご説明申し上げた取り組みを全力で進めているものの、企業努力では、どうしてもカバーできない部分については、商品の出荷価格の見直しをさせていただいております。
皆さまにはご負担をおかけすることとなり、本当に申し訳ございませんが、コスト削減、品質向上に向けた活動を休みなく続け、皆さまに安心と信頼をいただける商品をお届けし てまいりますので、何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。続きまして、価格改定後の売上回復の取組についてご説明をいたします。
2023年2月1日から多くの商品の価格改定をさせていただいております。経験上、価格改定後には 商品の販売量が減少することがございます。そういった一時的な需要の落ち込みから、少しでも早く回復できるよう、先ほどの業績説明の中でお伝えをした販売促進や、野菜の色に着目した飲料プロモーション、あるいはケチャップの利用拡を目指した需要喚起イベントなどの活動を積極的に実施してまいります。また、商品のリニューアルによるバリューアップ、新商品の導入による様々なニーズの取り込みなどを進めることで、商品価値と魅力を高め、お客様に継続的にご購入いただけるよう努力してまいります。

Q.23年は配当性向が80%と高い配当が変わらないのはありがたいが、成長投資に回す分が少なくなりませんか
A.株主の皆さまへの利益還元は、当社の重要な経営課題の1つです。
2018年度から始まった前中期経営計画のスタート時に利益還元の方針をそれまでの配当方針から改めました。
具体的には連結業績を基準とし、1株当たりの年間配当金を35円以上、当期間中の総還元成功を40%以上と定めました。「2021年度から始まった現在の中期経営計画では連結業績を基準とし、その期間中の総還元性向を40%以上とする。」これは変わりませんが、一株当たりの年間配当金を38円以上としています。
2019年度から2022年度まで、4期連続して増配を実施してまいりましたが、残念ながら2023年度の配当予想は現在のところ38円であり、2022年度と同額となっております。成長投資に関しては、昨年度の中期経営計画発表時にM&Aなど、インオーガニックへの投資として、300億円から500億円の規模を掲げました。現時点にてこれを変更する予定はありません。冒頭の社長の山口からのご挨拶、奥谷からの説明にありました通り、当社は大変厳しい状況にありますが、株主の皆さまにしっかりとした還元ができるよう取り組んでまいります。

当日いただいたご質問と回答(抜粋)

Q.国際事業の展開について教えてください。今後の注力エリアはどこでしょうか
A.当社の国際事業につきましてはアメリカ、ポルトガル、オーストラリア、台湾、イタリアを中心に展開をしておりますが、それらは主にトマトの加工、販売を実施しております。最も規模が大きな事業は、アメリカのカゴメインク社で、ピザソースなどの調理ソースをレストランチェーン向けに販売する事業です。直近では、約250億円の売上となっています。決算のご説明にもございましたが、国際事業は堅実に売上と利益を拡大しております。従いまして、今後のカゴメの事業において、カゴメの成長を牽引する大きなセグメントとして位置づけております。今後の注力エリアに関しましては、先進国の中で唯一人口が増加し、食の需要が幅広く拡大をしているアメリカで更なる事業成長を目指してまいります。その理由といたしましては、マクロの食市場の動向に加え、先ほど申し上げました。カゴメインク社に加え、野菜の種子を販売する会社、あるいは生のトマトを加工してトマト原材料にする会社など複数のグループ会社をアメリカに持っております。これらの会社の連携、協業を進めることで、さらなる事業拡大が図れるものと考えており、ただ今社内でプロジェクトを組んで進めている最中でございます。引き続き努力を重ね、この中期の期間中に成果を出していくようにしてまいりますので、皆さまどうぞご期待ください。

Q.男性育休取得率や、女性の活躍などへの取り組みについて教えてください
A.男性育休につきましては、2022年度にお子様が生まれた男性社員が54名おり、そのうち42名が育児休暇を取得しています。取得率は、78%となっております。2019年から2021年の3年間での平均値が42%で、大幅に増加しています。男性育休に関するセミナーを全事業所で開催したり、取得しやすい職場の風土の調整が進められております。私が担当しておりますIRでは、男性育休取得率を今後開示していくということになっておりまして、この3月に発行いたします統合報告書でも、この数値を開示しております。また、女性活躍につきましても、同じく目標を掲げて取り組んでおります。
当社は2040年頃までに、社員から役員まで各職員の女性比率を50%にするということを、長期ビジョンとして掲げております。特徴的なのは、現在の新卒採用では、女性比率が約6割となっておりまして、管理職比率はまだ 9.5%と低い水準ではありますが、私の周りにも女性社員がどんどん増えている状況です。私自身、2人の子どもを育てながら、IRの仕事をしておりますが、フレックスタイムや在宅勤務など働きやすい仕組みが整備されておりますので、バランスを取りながら楽しみながら仕事をさせていただいています。

Q.環境への取り組みで、ご説明されていた海外での営農支援事業について、もう少し詳しく教えてください
A.営農支援を担うのは、DXASという新会社です。正確にはDXAS Agricultural Technologyという会社で、昨年2022年の9月にカゴメとNEC様との間で設立した合弁会社です。事業内容としては、AIを活用して加工用トマトの生産者、営農者の皆さまの支援を行うという内容になっています。営農支援を目的に設立したポルトガルに本拠地を置いている企業です。背景は改めて語る必要もないのかもしれませんが、加工用トマトの生産というのは、新興国を中心とした人口増加や経済成長に伴って、需要はまだ拡大が見込まれています。しかし、その一方で、加工用トマトに限らないのですが、農業全体の課題として、畑の管理がうまくいかないということが発生すると、その畑での収量、この場合だったらトマトになりますが、トマトの生産量が上がらず、その生産者の収入が減っていく、収益が未達になるという状況です。また、国内と比較しまして、海外の加工用トマトの畑の大きさというのは、1つで100ヘクタールの規模もあります。1100ヘクタールの規模となれば、畑の管理の間違いで、最終的な収益悪化の影響が大変大きいものになります。
そういうことを考え、DXASは畑の状態や天候をセンサーで監視、モニタリングするだけ、そこまででとどめてしまうスマート農業というのも多いのですが、そのデータを農業熟練者の方々の対応方法を学習させたAIにて、そのデータの現状を分析し、診断し、最適なその後の栽培対応をアドバイスする、というようなシステムを作っております。このような形が現在のDXASの中心となるビジネスモデルです。その中でも特に切実な問題である水不足に対して、従来よりも少ない量で、しかし従来以上の収量、トマトの生産量が得られる多頻度少量灌漑水のシステム、自動コントロールシステムができあがったので、そのサービスを4月より開始する予定だという内容です。今後もこのような取り組みの新事業、DXASの新規事業を拡大していくことによって、農業に関わる方の収益の低下のリスクを抑え、逆に収益が増加させられるようなことにつなげ、 農業の持続可能性に最終的にはつなげていけたらなということを考えながら進めているビジネスでございます。

参加株主さまのご感想(抜粋)

  • ・業績が良くない時でも、だからこそ情報開示をするという経営陣の姿勢は大変立派だと思う。覚悟が伝わる。
  • ・増収減益がわかった。一時的な現象と理解しているので、増益を続けられるようがんばってください。
  • ・株主への質問に対してもわかりやすく説明していて、理解しやすかった。
  • ・とても誠実な会社だと思いました。
  • ・今回の説明は非常にわかりやすかった、今後も定期的に開催をお願いしたい。
  • ・企業を取り巻く環境が厳しい中、様々な工夫をされていることがよくわかった。
    また、事業継続についての要となる、社員の方に対しても働きやすい環境作りに取り組んでいることもよくわかった。これからも応援していきたい気持ちが沸いた。
  • ・環境保全への取り組みを継続して開示してほしい。今回、バイオマス発電にも取組んでいることが分かり、安心した。
  • ・身近な商品の事しか知りませんでしたが、AIを利用した営農支援やサスティナブルにも取り組まれていることが詳細に分かり、益々ファンになった。また、Scope1~3などの指標があることも初めて知り、勉強にもなった。
  • ・個人向け社債の発行を知らなかったので、そういう取組みがあってよかった。再度の発行があれば購入してみたい。
  • ・今後もオンライン発信で、様々な企業の取り組みを紹介する機会をたくさん作っていただきたいと思います。それがカゴメへの愛着に繋がっていくと思います。
  • ・新型コロナも5類になったら個人投資家向けの説明会もオフラインで実施してほしい。
  • ・1時間が短く感じた。質疑応答時間を増やせば、御社に対する理解がより深まると思う。

限られた時間ではございましたが、カゴメの今をお伝えすることができました。
これからも、株主さまとの対話と交流の会を企画してまいります。
引き続き、カゴメの取り組みへのご理解ご協力をお願いいたします。

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